先日紹介した、「世界の[宗教と戦争]講座〈決定版〉」の続編ともいうべき本がコレ。国際社会に対し、絶対に知っておきたい三大宗教について、実に分かりやすく解説している。そのエッセンスを紹介しよう。
・一神教から分かれた3つの宗教、できた順番にユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、一神教の原理の中では、お互いの正義が違うために殺し合う。つまり、生命尊重の原理よりも正義が優先し、正義が優先するゆえに殺し合うことすら起こっているわけです。この本でこれまで世界の歴史を再認識すると共に、日本人のアイデンティティーを再認識していただく手助けとなればと私は願っています。
・ 今、世界を動かし、世界の騒乱のもととなっているユダヤ、キリスト、イスラムの三大宗教について知るには、必ず理解しなければいけない概念があります。それは一神教であるということです。一神教は、神様を1つしか認めない宗教で、多神教に対峙するものです。たった1つの神という考え方は日本人には全く縁がなかったので、なかなか理解できないと思います。
・ 本当にエホバが唯一絶対の神であり、人類全てを創造した神であるならば、本来はどの民族もすべてかわいがるべきだと思うのですが、エホバは明らかにユダヤ民族をえこひいきしています。ユダヤ教は唯一絶対神を信じる宗教でありながら、ユダヤ人の民族宗教にとどまっています。世界のすべてを作った神様なら、なぜ他の民族を救わないのかということは、非常に疑問です。この疑問が、じつはキリスト教の誕生につながっていきます。
・ イエス・キリストと言う人は基本的にキリスト教信者であって、一番基本はイエスは人間ではなくて神であったのだと信ずることです。その証拠に復活したではないか、これがキリスト教の基本です。
・ 実はユダヤ人たちは、今でもイエスはキリストと認めていないのです。イエスは人間なんだ。だから、復活したというのは間違いだ。ということは、イエスが復活したことによってつくられたキリスト教は、ユダヤ人から見ると虚偽の体系になるわけです。
・ つまりイエスの出現というのは、正確に言えば、唯一絶対の神は、イエスというひとり子を全人類のところに差し向けて、しかも、イエスが全人類の罪を背負って、十字架の上でわざわざ殺されてくれた。彼の犠牲によって全人類の罪は贖われたという考え方をするわけです。
・ユダヤ教とイスラム教は、全く離れているようで、じつは共通点もあります。その共通点とは、三位一体説の否定、つまり、イエスがキリスト、神であることの否定です。ところが、これはキリスト教徒にとっては、イエスの神性を否定するからユダヤ人は悪人である、イスラム教徒もそれに勝るとも劣らぬ悪人ということになります。
特に、「ユダヤ・キリスト・イスラム 一神教それぞれの言い分」のインタビューは実にオモシロイ!こりゃ、紛争がおきるはずだよねえ。実に考えさせられる一冊。オススメです。(・∀・)