五千円札の肖像で有名な新渡戸稲造博士。2012年9月に生誕150年を迎えた。日本で最初の国際人は氏でないかと思う。ずっと前から読みたかった、『武士道』『修養』を現代仮名遣いにした本。そのエッセンスを紹介しよう。
・僕は常々、人間は悪い状態にあるのが普通で、都合のよい状態は望外のことだと思っている。三度の飯でさえも、それも食べられるのはありがたいことだと思う。こういうと君子を気取っているように取る人もいるかもしれないが、実際に僕は三度の食事をするたびにそう思うし、こうして満足に飯が食えることはありがたいことだと感謝している。
世の中を見渡せば、飯が食えずに苦しんでいる人たちが何万人いるかもしれない。それに引きかえ自分は食うに困らず、時には御馳走さえ口にできる。ありがたいことだと思う。だから僕は、食事に関して文句をいったことはいまだに一度もない。
要するに良好なことはもったいないことであり、いつまでもそんないいことが続くはずがないと考えるのだ。いつか自分にも悪いときが来る。そのときはどうするかをあらかじめて考えて、そのときの決意をするそうすれば何事につけても恐ろしいということはなくなるはずだ。
・義は武士道の中で一番厳しい掟である。武士は卑怯なこと、醜い不正な行いをもっとも憎む。
・礼儀は、人の感情を思いやる心の表われである。また尊いものを尊び、秩序ある社会が是認する地位を敬うことである。その地位は貧富の差に基づくものではなく、人が本当に持っている功績や徳行の差に基づくものである。
・武士はいったん承諾すればそれを覆すことはなく、「武士の一言」は非情に重かった。人と約束するのに必ずしも証文は必要ではなく、それは間違いなく履行された。証文をもって約束することは、武士の威厳を著しく損なうものだとされた。世間には、武士が「二言」、つまり約束をたがえた罪を死をもって償ったというたくさんの悲惨な物語が伝えられている。
日本人の原点だね。オススメです。(・∀・)