「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「逆説の日本史18 幕末年代史編 黒船来航と開国交渉の謎」(井沢元


さあ、今年こそ、全巻読破を狙っている、「逆説の日本史」シリーズ。いよいよ幕末です!(・∀・)


幕府崩壊を早めた160年前の日米交渉は、「問題先送り」「嘘」「二枚舌」のキーワードが今日の日米問題にそのままあてはまることに驚かされる。そのエッセンスを紹介しよう。


「日本は前触れなしに突然やってきたアメリカのペリーという乱暴な男に強引に開国させられた」これは日本人の持っている歴史認識だ。しかし、これは正確ではない。ペリーが「強引」だったのは本当だ。だが、「突然」では決してない。それどころか、アメリカは実に慎重に紳士的に粘り強く交渉を続けていたという事実がある


アメリカが日本に開国を求めた最大の理由は何か?アジア進出、正確に言えば中国との大々的な貿易を望んだ。そして、そのために日本の開国を求めたのである。


ペリーの黒船が来航することを、幕府の首脳は一年も前から知っていた。しかし、それが日本の将来にとって、どんな大きな意味を持つかはまるでわかっていなかった。


・黒船は強大なエンジン(蒸気機関)を動力としているので、それまでの帆船では搭載不可能だった巨大な大砲を積むことが出来、日本の沿岸に設置された大砲の射程距離外の洋上から、たとえば江戸城を艦砲射撃することが可能になった。つまり、日本は自らを守る手段を蒸気船発明の時点で失っているのである。


・ペリーがこの時期に小艦隊を率いて浦賀沖に現れること。そして、彼等が何を求めどんな行動をする可能性があるか、ということについて、幕府の首脳部は完全に把握できていたということだ。にもかかわらず幕府はこの時筆頭老中となっていた阿部正弘を含め、何もしなかった。本当に「何もしなかった」のである。徹底した情報管理と、その上に胡座をかいた「何もしない」政権、これが幕府である。


江戸時代とは「平和」のために武器の改良を一切ストップした時代だった。だから、黒船は大ショックだった。敵は日本が休んでいる間に、三百年近い進歩をしているのである。


江川英龍は極めて優秀だった。反射炉・台場・ボートホイッスル砲を、三つとも一年足らずの間に完成させたこんな優秀な役人は世界中探しても滅多にいないだろう。にもかかわらず幕府は、江川が成し遂げた仕事をまったく生かしていない。


・下田の住民を絶賛しているハリスが、大きなカルチャーショックを受けたのが、日本人の混浴習慣だった。当時の日本人は男女混浴が当たり前、下田でも当然のように行われていたのが、ハリスはこればかりは理解の外であったようで、日本人の通辞に「娘たちに貞操の危険はないのか」と何度も尋ねている。


その他、「オランダ国王開国勧告を拒絶した幕府の思惑」「日本外交は「嘘つき」で「二枚舌」と喝破したペリー」「日米和親条約締結で意識的に行った誤訳」「「徳川の終わり」を印象つけた安政の三大地震」「「倒幕の大功労者」ハリスは何をしたか?」


やっぱり歴史は繰り返すんだね。オススメです。(・∀・)