「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「猫楠 南方熊楠の生涯」(水木しげる)

日本が生んだ天才博物学者、生物学者(粘菌)・南方熊楠。18ヶ国語を解し、「歩く百科事典」と呼ばれた。この本は、漫画界の長老であり鬼才・水木しげる氏が熊楠の生涯を独特のタッチで描いたもの。「猫楠」っていうくらい猫が大好きだったのらしい。そのエッセンスをしよう。



熊楠は18ヶ国語を話したということで大評判だったら、「猫語」をも解することは誰にも知られていなかった。また最近、某大学者たちの研究では熊楠は「幽霊語」というべきものもマスターしていたのではないかと言われている。今まで人類がおめにかかれなかったこの大怪人は、「猫語」「幽霊語」など朝めし前だったのだ。


・「おめえ考えても見ろよ 宇宙が創生されて生命というものがレンメンとつながっていればこそ我々は存在するのだ。この何億年の間一度もとぎれることなく続いとるのだ。とにかく一度でも切れたら我々はない。これほど不思議なことはないよ。これ即ち『宇宙の力』だ。また我々の脳みその中にある『無意識』これだっておめえ計り知れない宇宙の謎がかくされているのだ。たとえば火山。あれは地球の中のマグマというものが出る。これは地球創生の秘密が隠されている。これは魔羅と同じようなもので精液(原形質)を噴出させる。地球も脳みそも同じようなものだ。理性という固い外側の中には我々で分からんものがたくさんかくされている」


幽霊とよばれる現象は、幻覚や異常心理から作られるものではない。純粋な空間現象だ。つまり実在の一形態であり、それを我々が知覚できるかできないかは全く脳力しだいだ。我々の欲得とか下らぬことにわずらわされず純粋な気持ちが高まったとき即ち地球上の生命として純粋になったときそれは高まる。


粘菌は、生と死を一つにもっているようなものだ。生命がもっとも活動しているときは、見た目には『たん』みたいなもので死物にみえる。後日繁殖の胞子を守るだけの粘菌は、実は死物だが人は死物を見て粘菌が生えたという活物(いきもの)をみて死物同然とみる。それと同じで死んだらなにもないと考えるのはおかしい。粘菌の世界をみても死んだとみえる状態に似ているときに粘菌は最も活躍しているんだ。


「生死の現象」即ち生と死を粘菌の一生は静かに見せてくれるのだ。大宇宙の根源(大日如来)を見せてくれるのだ。生命に関わるものとしての霊魂の問題。霊魂を我々が知覚できるかどうかはいつに「脳力」にかかっている。「脳力」とは純粋な心、即ち、名誉とか翌といったもののない一点の曇りのなき状態、大自然の心になりきったときあらわれる力である。生命現象の奥にひそんでいるものは「何者」か、熊あんはこれをつきとめたかったのである。彼を支えたバックボーンは真言密教の教えだった。


…うーん、マンガでも熊楠は難解だなあ…。「食うために仕事をしない」という姿勢は見習いたいなあ。オススメです。(・∀・)