「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「銃・病原菌・鉄 上巻 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎」(ジャレド・ダイアモンド)


出ました!文句なしの今年のナンバーワンの本っ!!!手に汗握る!!!一気に読んじゃいました!!!(゜o゜)


「なぜ人類は五つの大陸で異なる発展をとげたのか。分子生物学から言語学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。98年ピュリッツァー賞受賞作。識者が選ぶ朝日新聞ゼロ年代の50冊”(2000年から2009年の10年間に出版された本)堂々の第1位に選ばれた名著中の名著、遂に文庫化」。最後の氷河期が終わった1万3000年前からの人類史から始まる壮大な人類史。そのエッセンスを紹介しよう。


歴史的な不均衡は、現代の世界にも長い影を投げかけている。それは、金属器と文字を持つ社会が、金属器も文字も持たない社会を征服し、あるいは絶滅させていしまったたためである。こうした地域間の差異は人類史を形作る根本的な事実であるが、なぜそのような差異が生まれたのかという理由については、いあだに明らかになっておらず、議論が続けられている。


世界の富や権力は、なぜ現在あるような形で分配されてしまったのか?なぜほかの形で分配されなかったのか?確かに、現代世界の不均衡を生み出した直接の要因は西暦1500年時点における技術や政治構造の各大陸間の格差である。鋼鉄製の武器を持った帝国は、石器や木器で戦う部族を侵略し、征服して、滅ぼすことができたからである。では、なぜ世界は、西暦1500年の時点でそのようになっていたのだろうか。本書のテーマはそれを解することにある。


・世界史では、いつくかのポイントにおいて、疫病に免疫のある人が免疫のない人たちに病気をうつしたことが、その後の歴史の流れを決定的に変えてしまっている天然痘をはじめとしてインフルエンザ、チフス、腺ペスト、その他の伝染病によって、ヨーロッパ人が侵略した大陸の先住民の多くが死んでいるのだ。


疫病は、熱帯地域に移住するヨーロッパ人のさまたげにもなった。アフリカ、インド、東南アジア、ニューギニアなどでは、マラリヤや黄熱病などの病気が、ヨーロッパ人がそれらの地域を植民地化する上での最大の障害だったのである


・スペイン人がペルーにやってくることができた要因のひとつは、インカ帝国になかった文字を彼らが持っていたことである。情報は記述されることによって、口承よりもはるかに広範囲に、はるかに正確に、より詳細に伝えられる。要するに、読み書きのできたスペイン側は、人間の行動や歴史について膨大な知識を継承していた。それとは対照的に、読み書きのできなかったアタワルパ側はスペイン人自体に関する知識を持ちあわせていなかったし、海外からの侵略者についての経験も持ち合わせていなかった。


ヨーロッパ人が新世界を植民地化したことの直接の要因は、銃器・鉄製の武器・そして騎馬などにもとづく軍事技術、ユーラシアの風土病・伝染病に対する免疫、ヨーロッパの航海技術、ヨーロッパ国家の集権的な政治機構、そして文字を持っていたことである。


家畜は肉や乳、肥料を提供し、また鋤を引くことで食料生産に貢献する。そのため家畜を有する社会はそうでない社会よりも多くの人口を養うことができる。また家畜の糞は、伝統的な生活を送る社会で、貴重な燃料源としても使われてきた。さらに大型の家畜は、それまで農耕に不適であった土地の耕作を可能にし、食糧増産に貢献する。
また、人類は歴史上初めて、陸路でたくさんの人や重い物を一度に遠くまで、速く運べるようになった。人間が乗り物として使った家畜には、馬、ロバ、ヤク、トナカイ、ヒトコブラクダフタコブラクダなどがあり、ラマとともに荷物の運搬用にも使われている。


征服戦争において馬と同じく重要だったのは、家畜から人間にうつった病原菌の果たした役割である。天然痘、麻疹(はしか)、インフルエンザなどの伝染病は、人間だけが罹患する病原菌によって引き起こされるが、これらの病原菌は、動物に感染した病原菌の突然変異種である。家畜を持った人々は、新しく生まれた病原菌の最初の犠牲者となったものの、時間の経過とともに、これらの病原菌に対する抵抗力をしだいに身につけていった


・植物栽培と家畜飼育の開始は、より多くの食料が手に入るようになることを意味した。そしてそれは、人口が超密化することを意味した。つまり食料生産を他の地域に先んじてはじめた人びとは、他の地域の人たちより一歩先に銃器や鉄鋼製造の技術を発達させ、各種疫病に対する免疫を発達させる過程へと歩み出したのであり、この一歩の差が、持てるものと持たざるものを誕生させ、その後の歴史における両者間の絶えざる衝突につながっているのである。


人間の死因でいちばん多いのは病死である。そのため、病気が人類史の流れを決めた局面も多々ある。たとえば、第二次世界大戦までは、負傷して死亡する兵士よりも、戦場でかかった病気で死亡する兵士のほうが多かった。ユーラシア大陸から運ばれてきた病原菌で命を落としたアメリカ先住民はヨーロッパ人の銃や剣の犠牲となって戦場で命を失った者よりはるかに多かった


その他、「13,000年前のスタートライン」「平和の民と戦う民の分かれ道〜マオリ族とモリオリ族の衝突」「スペイン人とインカ帝国の衝突〜カハマルカの惨劇」「食料生産と制服戦争」「農耕を始めた人と始めなかった人」「毒のないアーモンドのつくり方」「なぜシマウマは家畜にならなかったのか」「大地の広がる方向と住民の運命」「家畜がくれた死の贈り物」など。


漠然と思っていた長年の疑問がまるで氷が溶けるように、解けてきた。下巻が楽しみ!人類必読の書!絶対読むべし!(・∀・)