- 作者: 野口武彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
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妻 「ねえ、なんでさあ、いつも年末になると『ただおみぞう』やるんだろうね?」
私 「ナニっ!?」
妻 「『ただおみぞう』よ、『ただおみぞう』。いつもやるじゃん!日本人ってみんな『ただおみぞう』好きなのかな?」(^J^)
さて、この一冊は文学や演劇の『忠臣蔵』はいっさい取り扱わない。歴史家が「赤穂事件」としていることの一連の出来事は、世間ではそれよりも「忠臣蔵」事件という名称の方が多く通用している。その後人形浄瑠璃や歌舞伎などの人気以来、事件そのものが舞台のイメージの枠組みで考えられるようになった。つまり歴史上の出来事が文学作品の名で呼ばれるという倒錯が生じたのだ。
世に伝えられた「忠臣蔵」事件は、当初から多少とも文学化されている。そのオーラを取り除いたら何が残るか。なんとか事件のなまなましいい灰色のリアリティを回復できないかというのが、筆者のささやかな目論見なのである。
「忠臣蔵」事件とは一つのコードネームである。時代は元禄の末。歴史では赤穂事件といわれる江戸城内の刃傷・浅野内匠頭の切腹・その遺臣団の吉良邸討入りと続く一連の出来事は、やがて国民伝説にまでなった。史実は時として文学よりも深い光を放つ。この一冊は史料から聞こえてくる元禄武士のなまの肉声を聞こうとする。
事実は小説より奇なり。オススメです。(^J^)