- 作者: 内藤耕
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2011/12/01
- メディア: 単行本
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弊社もそうだったが、大震災で予約や仕事が激減した。「キャンセルの津波に襲われています」老舗旅館の経営者から届いた一通のメール。日本各地のサービス業を「消費の自粛」という異常事態が襲っていた。
さて遠のいた客足をどのように回復したのか。全国13社の経営者や責任者の証言を収録したのがこの本だ。被災地域のみならず、北海道から九州に至る広範囲にわたって、客商売に携わる人たちの生の声を記録。これらの証言は、サービス業関係者のみならず、幅広いビジネスパーソンに、事業を継続するために大切なことを教えてくれる。そのエッセンスを紹介しよう。
【私たちはもっと強くなれる 悲劇の町に掲げた「営業中」の看板
南三陸ホテル観洋 阿部憲子】(宮城県南三陸町)】
・三日間ぐらいは自分ひとりで生きられる術を身に付けておくべきでしょうね。多少の違いはあっても誰にも助けてもらえない時間が流れるはずです。それは会社だって同じです。人も大切にしなければなりません。スタッフであっても、お客様であっても、取引先であっても、近所の人であっても…。今回、周りのすべての人に救われました。個人だけでなく、会社も生きる術を普段から意識していないといけません。今回は、人に支えられて生きていることを痛感しました。
【四つの価値を高めていく 創業600年の旅館が決めた営業再開の条件
湯主一條 一條達也 一條千賀子(宮城県白石市)】
・料理、スタッフ、施設、雰囲気の四つがお客様に提供している価値です。そしてこの四つの中の一つでも十分に提供できない状態では、営業を再開しないと決めていました。営業を再開するにあたって、四つをさらに磨きこんでいこうと。これまでと同じレベルのサービスでは感動してくれません。
【そして従業員だけが残った 常識破りの理美容チェーン経営者の告白
オオクシ 大串哲史(千葉県千葉市)】
・私は「情の経営」が重要だと考えています。「人情」「薄情」など、さまざまな「情」がありますが、「同情」のエネルギーはものすごい力を生みます。だから、地震が起きた後、従業員から「可哀そうに」に思われるくぐらい働こうと考えました。
結論から言うと、社員を守り、顧客を守り、会社を守る。そのための戦略と仕組みづくりが普段からできているかどうかだよね。改めて背筋が伸びた気がする。おススメです。