「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

HUMAN〜時代を思い出す最初の扉が歌!…『阿久悠』

あの人に会いたい (新潮文庫)

あの人に会いたい (新潮文庫)


作詞家であり、作家の阿久悠氏。私の明治大学の大先輩でもある。40歳以上の人であれば、ふっと思い出す歌が氏の作詞という歌もたくさんあるだろう。何せ、ピンクレディーの「ペッパー警部」をはじめほとんどのシングル、沢田研二の「勝手にしやがれ」、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」、都はるみの「北の宿から」、変わったところでは、「ウルトラマンタロウ」「ピンポンパン体操」などありとあらゆるジャンルに及んでいる。

昨日紹介したこの本の中でひときわ輝いていたのが氏のインタビューだ。そのエッセンスを紹介しよう。


【「時代を思い出す最初の扉が歌であればいいな…『阿久悠』】

・作詞においていちばん大事に思っていることは、時代です。歌というものは、その時流れていて『いいね』『かっこいいね』というのがまず第一ですが、それから何十年かたった後でひとつの時代を思い出す最初の扉みたいなもんが、歌であればいいな。『あの時あの歌が流行っていたね』『あの歌が流行っている時、
僕はこうしていいたね』『あの歌が流行っている時、あのニュースが流れていたね』というところまでつながっていくと、『歌というものは生きものだな』という感じがしますね。


・どうやって裏切ろうか。『今度はこの程度のものを』と向こうが予想していたら、ぜんぜん違う切り口でびっくりさせよう、みたいなところがありましたからね。また、違う切り口が
あるかもしれない。決まりだけじゃないものが、歌にできるものがあるんじゃないかとずっと考えてましたから。


・高度経済成長以来、というか、オリンピック以来、万博以来、日本という国がスタスタと80センチか1メートルぐらいの歩幅で歩いてきて、歩いただけの効果があったと思う。

けど、もしかしたらね。80センチや90センチの歩幅の70センチ、75センチぐらいのところに、実は良いものがあったんじゃないか。これからの、1990年代から後というのは、そのことも
大事だが、同時にまたいできてしまった良いものをもう一回探して歩く時代かもしれないな、というのが『時代おくれ』なんてのを書いてみようかな、と。『時代おくれ』というのが、最ももしかしたら先鋭的な言葉なのかもしれない、とかね。そんな思い方もしながら、あの歌は作ったんです。


彼の日記帳は分厚い。その日の為替レート・相撲の結果・レストランで食べたおいしいもの・社会的な事件など、その日一日で阿久悠の興味をひいいたさまざまな事柄がいろいろとメモされている。すでに作詞のネタとして使われた内容は、日記の中に赤い線でしるしがつけてある阿久はインタビュー番組の中で、その日記を見せながら、「日記は帳簿も兼ねてるんです」「アンテナをたくさん立ててる。ところが、たくさんアンテナ立ててると、疲れるんですよ」と笑っていた。阿久悠が努力を重ねて紡ぎだしてきた時代の歌は、世代を超えて歌い継がれていく。