「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

HUMAN〜「なでしこ」を世界一にした監督・佐々木則夫の11の心得


女子W杯で、過去一度も勝てなかったドイツ、アメリカを撃破し、初優勝を飾ったなでしこジャパン
快進撃を生んだひとつの要因は、2007年末に就任した佐々木則夫監督の手腕にある。女子サッカー取材歴8年の江橋よしのり氏が、佐々木流「力の引き出し方」エッセンスを紹介しよう。


DIME 2011 16・17号 DIME REPORT

「「なでしこを」世界一にした自信をもたせるマネジメント術」


1 責任
2 情熱
3 誠実さ
4 忍耐
5 論理的分析思考
6 適応能力
7 勇気
8 知識
9 謙虚さ
10 パーソナリティ
11 コミュニケーション


保身や権威にとらわれてはらなず(1、3、7、9)選手の力を引き出すにはロジックとエモーションの両方が必要(2、5、8)。
また、身構えずに素直な自分をさらけ出しつつ(10、11)、自分の都合や好みへのこだわりを捨てる(4、6)ことの大切さも強調する。佐々木は、これらのうち1項目でもゼロまたはゼロに近い値があれが、その人に指導者の資格はないと説く。


佐々木則夫監督は、元サラリーマンだ。明治大学を卒業後、電電公社に入社。サッカー部でプレーしながら
未払い料金の徴収係、広報部でも社業をこなした。2006年に、なでしこジャパンのコーチに就任するまでの25年間、会社組織の一員だった。

「会社組織の中で培ったサラリーマン時代の経験は、チームマネジメントに大いに役立っている」

「僕の契約先は日本サッカー協会だけれど、気持ち的には選手が僕のクライアントなんです。監督が馬車なら選手は乗客ですよ。間違っても選手は馬ではない。監督の仕事とは、選手をムチで叩いて走らせることではなくて、選手が告げた行き先まで、選手を導くことなんです」


・佐々木の成功のポイントは、まず自分が心を開いたことだった。なでしこジャパン前キャプテンの池田浩美に言わせれば、

「ノリさん(佐々木の愛称)は、監督というよりも、親戚のオジサンみたいな人。監督にこんな相談したら怒られるかな、なんて心配をすることが一度もなかった」

またチームスタッフによれば、

「誰とでも対等な関係を築いてくれる。我々に高いクオリティーが仕事を求めるのは当然だけれど、仕事の進め方はスタッフそれぞれの裁量にまかせてくれる」


「選手が自分らしさに自信を持ってプレーすることのほうが、どんな戦術よりも力になるんです。選手が自分らしさに自信を持つには、自分を出しやすい人間関係を築くことが最も大事。そしてそれはサッカーに限らず、人と人との交流すべてのベースにあると思います」


選手たちは、W杯期間中、口々にこう言っていた。

女子サッカーの苦難の時代にも、火を絶やさずにがんばってきた先輩たちのために」

「サッカーが好きな少女たちの夢を奪わないために」

「試合に出られなくても同じ心で戦ってくれる仲間のために」

なでしこジャパンの選手たちを取材していると、彼女たちは常に「誰かのために」と意識することで、自らのモチベーションを高めていることがよくわかる。これは「女性の脳は共感を大切にする」といわれる近年の脳科学の研究データとも合致する。


なでしこジャパンはいつだって、よく笑っている。エースの澤穂希も、

「ノリさんが監督になって変わったなと思うのは、チームの雰囲気。みんながよく笑うようになりました。今日だって、試合中にこんなに笑ってていいのかなって思うぐらいだったんですから」と頬を緩めていた。

佐々木はいう。

「サッカー選手の頭の中は、試合中はパニックなんです。一度頭を冷やさねばならないときは、『人の話を聞け』と怒鳴るよりも、肩の力を抜かせる脱力ギャグのほうが効果的」なんです」


笑顔を絶やさなかったことが勝因のすべてだとは、もちろん言うことはできない。ただ、佐々木が笑顔で送り出すメンバーたちは、いつも自信に満ちあふれ、そして勝負をあきらめない。

なでしこジャパンのひたむきさの源は、『私にはできる』と信じる心にあるんです」


「できる」と信じる心を、知と情を駆使して徹底的にサポートするからこそ、佐々木は名将なのだ。(取材・文/江橋よしのり)


ん〜そうか!やっぱりリーダー自ら「心を開く」ことなんだね。