「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜高橋尚子の強さの秘密!…『君ならできる』(小出義雄)

君ならできる (幻冬舎文庫)

君ならできる (幻冬舎文庫)

シドニーオリンピック女子マラソン・金メダリストの高橋尚子を育てた名伯楽・小出義雄監督。(^_^) もうおなじみだよね。

この本は、オリンピック直前に書かれた本なんだけど、金メダルを取ることをまるで予言していたかのような内容なんだよね。ビックリ!(@_@)有森裕子鈴木博美高橋尚子など世界に通ずるトップランナーを輩出する小出流指導術とは?そのツボとコツを紹介しよう。


・2000年9月24日。シドニーのマラソンコースは、高低差が約70メートルもある、しかも、スタートしてすぐの1.5キロで約50メートルの高さを一気に駆け下り、すぐに上りに変わる。全体に起伏が多く、平坦なところはほんの一部しかない。オリンピック史上、もっとも過酷な難コースだ。そのコースを高橋におも言い切り気持ちよく走らせてやるのが、私の務めだと思っている。ボルダーに持ち込んだシューズは40足近く。この中からレース当日の「たった一足」を選ばなければならない。その一足が高橋の走りを左右するかもしれない。強敵は多い。最初に競技場のトラックに走りこんでくるのは誰なのか?私が何度も思い描いた光景の中に、ひときわはっきり見えているのは、もちろん彼女、高橋尚子の晴れやかで、すがすがしい「笑顔」なのだ


・高橋は、最初は3000メートル以下のトラック組にいた。だが、私は早くから高橋の才能に注目していて、毎日のように「おまえはロードに向いている。マラソンがいい。マラソンなら世界一になれる」しかし、彼女はまなかな本気にしなかった。高橋の走りならマラソンで世界一になれるというのは、私の監督としての「第六感」である。監督とは、そういう勘やひらめき、「第六感」をもっていないといけないのだ。


・彼女が入ってきたときに、無名だった頃の有森にイメージが重なった。勇気づけようとして「おまえは有森二世だ」といった。それを聞いた高橋が怒りだしたのだ。「監督、何をいってるんですか。私は有森さんじゃありません。私は私で、きちっと高橋尚子の走りをします」といったのだ。二番じゃ嫌だ、一番がいいというのである。「この子は、なかなかいうな」シンの強いところがあると感心した。そのシンの強さと目の輝きが、最近はさらに目立つようになってきた。人間は自信がつくと変わってくるのだ。彼女が大きく成長した証拠かもしれない。


高橋がなぜ強くなってきたか、それは彼女の性格だ。強くなりたいという一心があって、陸上競技そのものに関しては、あまり詳しく知らない。陸上競技ができる、走れるということが。うれしくて、うれしくて仕方がないのだ。「私五十歳になっても、一生走りますからね」だから、監督、ずっと見てて下さい、というのだ。ともかく、性格が素直の一語につきる。だから強くなる。強くならない子は、自分の心を閉ざしてしまっている。いくら私の経験で強くなるように指導してあげても、扉を閉めているから入っていけないのだ。高橋はいつも開けておいてくれるから、私がいうと心にスーッと入っていって、大きくなる。またいうと、また大きくなる。どんどん、どんどん伸びる。高橋の強さの秘密は、そんな素直さなのだ。


選手を褒めて自信を持たせることは大事だが、それが単なるお世辞であってはいけない。私が褒めるという意味は、あくまでも本当のことをいってあげるということだ。つまり本心を伝えるのである。心で思っていても通じない人がほとんどなのだ。だから私は言葉を惜しんだりしないで、思っていることは素直に口に出していう。とくにタイムが伸びないので落ち込んでいる選手などに対しては、積極的に声を掛けてやる必要がある。「おまえはよく頑張っているよ。ただ、いまはちょっと疲れているようだな。だけど心配することはないぞ。ちょっと休めば、すぐに回復するからな」こういう言葉を掛けて、自信を持たせることが大切なのだ。


・かつて有森裕子はいった、「監督、私をマラソン選手としてオリンピックに出場させてください」「よし分かった。ただし、おまえの場合は、普通の人の三倍は練習しないといけない。その覚悟はしておいてもらわなきゃいけないぞ」「はい、やります。オリンピックに行って、白いテープを切れたら、もう死んでもいいと思っています」それからというものは、本当に練習に次ぐ練習の毎日だった。まったく手抜きをすることもなく、私が作った練習のメニューを100%こなした。万全の準備が彼女に自信を与え、銀メダルと銅メダルと獲得させたのだ。「自分で自分を褒めてあげたい」というセリフは、「よくもあれほどのきつい練習に耐え、ここまでやってこれたものだ」という嘘いつわりのない正直な気持ちが吐かせたものである。徹底的な練習は自信を与える。有森は、そのことを実証してみせたのだ。


有森以上にすごい練習をするのが高橋だ。有森の倍以上はしているのではないか思う。高橋はいま、毎日、五時間ぐらいは走っている。マラソン選手といえども、普通三時間程度が限界だ。男子を含めて、世界でこんなに練習量の多い選手はいないだろう。


「修行している者に自主性はない」ちょっと極端な言い方かもしれないが、それが私のモットーである。自分がやりたいときに、やりたいだけのことをやる。そんな無計画さで、世界を相手に戦えるほどに強くなれるほど、現実は甘いものではない。自分の力だけでは引き出せないでいる可能性を、何とかして引き出してあげることである。自主性だけで能力を伸ばそうとしても、自ずと限界がある。


・私は監督の一番の仕事は、選手の心を開かせることだと思っている。選手は多かれ少なかれ「自分は本当に強くなれるだろうか」と不安に思っているものだ。そんな選手を、「何だか本当に強くなれそうな気がしてきた。よし、頑張るぞ!」という気にさせるのである。私はいつも「心のつながり」が大事ではないかと本気で思っている。簡単に言うと、愛情を持って接するということである。


監督は何よりも人の心が読めないといいけないのだ。出会った瞬間に、その人が自分をどう思っているのかを的確に察するようでないと務まらない。もちろん、経験と勘が必要である。監督は選手とコミュニケーションを取る必要がある。そしてどんなときにも、彼女がどういう言葉を掛けたら喜んでくれ、何をいったら傷つくのかということを、あらかじめは把握しておくことが大切だ。


すごいな!(^O^) 久しぶりに走りたくなっちゃった!おススメです!


小出道場
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