- 作者: 竹内久美子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/01
- メディア: 文庫
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さて、この本は、動物行動学の見地から見た、男と女論なのだ。実にオモシロイ!特に、『あとがきにかえて「男を恐怖のどん底に陥れるハゲ−その真相に迫る」』は、なるほど!とうなってナットクしてしまった。そのエッセンスを紹介しよう。
・頭と他の特別な箇所にのみ毛が残ったのはなぜなのか?それは匂いをトラップする役目があったのだと言われている。そういう部部なら発せられる匂いは、我々の祖先のサルたちの性的交渉において重要な演出効果を持っていた。それらは匂いをためておくために残ったのである。しかし頭髪となるとやや趣が違っている生え具合も緻密であるし、毛の質も違う。美しい頭髪にはつい触れたくなるが実はこのことに重要なヒントが隠されている。
我々の祖先のサルたちは、よく互いに毛づくろいをしていた。それは一つには互いの体を清潔に保つためだが、さらには相手と親密な関係を結ぼうとして、あるいはそのことの確認のためであった。毛づくろいは、多くの個体が社会を作り生活していく上で、コミュニケーションの手段として重要だったのである。そう考えてみると、僧侶や尼僧が剃髪していることの意味が
よくわかる。彼らのつるつる頭は、「私たちには頭髪がありません。だから誰とも毛づくろい関係になるつもりはないのですよ」ということを広く世間にアピールしているのである。
さて、その毛づくろいのための毛が欠落し始めるというのは一体どういうことだろう?男性ホルモンが多い男はハゲやすい傾向があるということは一つのヒントかも知れない。これは「性的にアクティブな男はハゲやすい」と言い換えることができるだろう。
我々の祖先は男は狩りに行き、獲物を妻子のもとへ持ち帰るという生活パターンで女は短い間隔で次々と子を産むようになった。そのような生活の中で生じた重大問題の一つは、性的にアクティブな男は自分の扶養能力以上に子を作りすぎてしまうということだったのである。なんとかして子作りにブレーキをかけなければならない。そこで男の頭髪が欠落してくれば妻との毛づくろいにおける相互関係は崩れ始める。もちろん妻だけではなく、あらゆる女に対しても言えることだが、そのおかげですでに存在している子の成長が保証され、最も多くの子を次世代に残す方法を選択しているのである。
一方性的にあまりアクティブでない男に関しては、子を作りすぎるという危険性が少ないからこの制御システムは必要はない。ただ困ったことには、この頭皮の毛根細胞がご主人様の現在の子どもの数や扶養能力について正確な情報を掴んでいないばかりか、既婚か未婚かという最も肝心な点についても無知であることだ。(゜o゜)
結論。「中年になっても精力が強く、しかも無責任に繁殖することをあまり得意としない男は、彼自身の扶養義務のある子の生存を保障するために女に嫌われなくてはならない。ハゲはそのための手段である」
それにしても、避妊法の確立した現代では、ハゲなくても子作りが制御できるのだということを、そろそろ遺伝子が気づいてくれないものだろうか。世の中からハゲの遺伝子が消え去るときが一日も早く来ることを希望してやみません。
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