「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜生命の強さとは?…『大河の一滴』(五木寛之)

東日本大震災、心よりお見舞い申し上げます。ご不明の方々のご無事を心よりお祈り申し上げます。


通勤途中に見つけたのがこの写真。コンクリートの中から伸びているクローバー


なんという生命力!なんというチカラ。これを見てとても勇気付けられた。そのとき思い出したのが、2年前にこのブログでも取り上げた、五木寛之氏の大河の一滴だ。


大河の一滴 (幻冬舎文庫)

大河の一滴 (幻冬舎文庫)


なんとか前向きに生きたいと思う。しかし、プラス思考はそう続かない。頑張ることにはもう疲れてしまった―。そういう人々へむけて、著者は静かに語ろうとする。「いまこそ、人生は苦しみと絶望の連続だと、あきらめることからはじめよう」「傷みや苦痛を敵視して闘うのはよそう。ブッダ親鸞も、究極のマイナス思考から出発したのだ」と。この一冊をひもとくことで、すべての読者の心に真の勇気と生きる希望がわいてくる感動の大ロングセラー。特に心に響いた話を再び取り上げよう。


アメリカのアイオア州立大学の生物学者のディットマー博士の実験


30センチ四方、深さ56センチの木箱に一本のライ麦の苗を植えて、水をやりながら数ヶ月育てる。4ヵ月後ひょろとした苗は色つやもそんなによくないし、実もついていない貧弱なライ麦の苗が育つ。そのあと箱を壊し、ライ麦の部分についている砂をきれいに落とす。その目に見える根の部分を全部ものさしで測って足していく。根の先の根毛という細かいものまですべて足していく。その総延長数は、なんと11,200キロメートルに達するのだ!それはシベリア鉄道の1.5倍!\(◎o◎)/!


一本の麦が数ヶ月自分の命をかろうじてささえる。そのために11,200キロメートルの根を細かく張りめぐらしそこから日々、水、カリ、窒素などの養分を休みなく努力して吸い上げながら命をながらえる。命を支えるというのは実にそのような大変な営みなのです。


そうだとすれば、その貧弱なライ麦の苗に対して、おまえ、実が少ないじゃないか、とか背丈が低いじゃないか、色つやもよくないじゃないかとか非難したり悪口を言ったりする気にはなれません。よくがんばってそこまでのびてきたなと賛嘆の言葉を述べるしかないような気がするのです。


私たち人間は、ライ麦の何千倍何万倍の大きさがあります。誕生以来一週間生きただけでもすごいなと実は思うのです。そして十年生き、二十年生きる−。生きるために私たちが、目に見えないところで、どれほどの大きな努力に支えられているか。自分の命がどれほどがんばって自分をささえているか。


生きているってすごいんだね。命って、人間ってすごい。


早く、地震がおさまりますように。29000名を超える死者・安否不明者の方々並びにご家族の皆様、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。多くの被災者の方が一日でも早く元の生活に戻りますように。