- 作者: 五木寛之,梅原猛
- 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
- 発売日: 2012/09
- メディア: 文庫
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さてこの本。知の二大巨頭が仏教の常識を覆す。ブッダとは誰なのか?仏教の救いとは何なのか?悪の時代を生き抜くための、仏教思想の秘密が明らかに。そのエッセンスを紹介しよう。
・(梅原) 仏教について長年研究していましたが、仏教はキリスト教と違って、仏となることめざす宗教と思いました。キリスト教で、神になろうとか、キリストになろうといったら狂人扱いです。『葉隠』では、「武士道と死ぬことと見つけたり」といいますけれど、私は、「仏教とは仏になることと見つけたり」といいたい。
・(梅原) 如来のもとはお釈迦様で、その使命は生老病死の苦しみの中を生きるように宿命づけられた人間の救済です。そして、さらに病気の苦しみからの解放を専門とするのが薬師如来。阿弥陀如来は人間を死の苦しみから救うことが役目ですね。
・(梅原) 仏教の思想の根底に、世界は苦であるがその苦の原因は人間の要望にある、という考えがある。この欲望を完全にコントロールするのが仏です。私は現在、日本人で欲望のコントロールを完全に実行しているのは、イチローではないかと思います。マリナーズのイチロー選手は、仏に近いといっても、お釈迦さんは反対しないと思います。
・(梅原) 私は、釈迦でいちばん理解困難なことは、前にも言ったように、釈迦の晩年に、釈迦の国が滅びるでしょう。自分の兄弟が、皆殺しになるでしょう。これに対して、釈迦はどう対応したのか。彼が、釈迦国の皇子から出家したということは、やっぱり国の滅亡の原因をつくってますわね。後で、釈迦一族がぜんぶ殺されたという、そういうときの釈迦の気持ちは、いったいどうだったのか。そこがいちばん、私は気になるんですがね。
・(五木)『教行信証』の中で親鸞は、最初は『無量寿経』をナンバー・ワンの聖典としています。それから『大般涅槃経(だいはつねはんきょう)』にいくわけでしょう。
・(梅原) 親鸞は、大無量寿経を、もっぱら所依の経典とする。しかし大無量寿経では、念仏をとなえると人間はすべて往生するが、五逆を犯したものと、正法を誹謗したものは往生できない。
・(五木) 十悪五逆、悪の限りをつくした極悪非道の人も、そして謗法の徒(仏法をののしった人)も、二つの条件を満たせば救われる、というところへいっておられるわけですね。一つは善知識によって導かれる。その次には深い懺悔、それもただの懺悔ではなくて、ほんとに号泣する、悲泣する、身体から血が吹き出すような懺悔が必要であるち、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。
はあ〜なるほど!「人が仏になる不思議」、「この世で仏と出会う不思議」、「人生の苦の中にある仏の障害」などなど。感動ですぞ!オススメですぞ!( ^∀^)