「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜日本の美意識の源泉とは?…『日本の曖昧力』(呉善花)

日本の曖昧力 (PHP新書)

日本の曖昧力 (PHP新書)

いつもお読みいただきありがとうございます。(^u^)年末にいつも、今年の「おのづかてる番付表…映画編&書籍編」は発表しているよね。今年も楽しみにしていてね。(^O^)/
昨年の書籍の大関がこの本。涙が出るくらい感動した。(>_<)


BOOK〜失われた古き日本の良さとは?…『逝きし世の面影』(渡辺京二
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20090112


さて、この本は韓国出身の比較文化学者である呉善花氏が書いた、拓殖大学で超人気の多国籍講義を紙上再現したものなんだけど、改めて「日本人で良かった〜!日本に生まれて良かった〜!」織田裕二ふうに)って感じる一冊。…まさに感動の仕入!\(~o~)/

日本人は「物事をはっきり言わない」「自主性がない」などと非難されることが多いけど、その曖昧さあるからこそ、日本は世界有数の安全で豊かな国になれたのだ。これからは世界全体に、調和がとれた人間関係、環境への順応性を生み出す日本の「曖昧力」が求められる時代になるだろう。では、日本人の曖昧さはなぜ生まれたのか?微妙な歪みを愛する美意識の源泉とは?そのエッセンスを紹介しよう。



・来日外国人の共通のプロセスの概要をお話しします。まず来日一年目多くの人たちが日本及び日本人に対して、共通してよい印象を持ちます。特に韓国人は顕著です。ずっと反日教育を受けていますので、多かれ少なかれ「日本人は野蛮人だ」というイメージを持っています。ところが、みな親切で礼儀正しく、優しくて思いやりがあると正反対のイメージへと変貌していくわけです。また、日本の町並みの清潔さに感嘆し、治安のよさに感動します。
しかし、二年目、三年目に入って「日本人というのはどうもよくわからない」、日本人の感覚、感性、美意識、価値観、社会的な習慣や文化のあり方がどうも理解しがたくなっていきます。
さらに日本で五年くらい居座っていますと、最初とは違った日本の良さが見えてくるのです。言葉ではちょっといえないような奥行きというか、深さや幅広さが感じられるようになっていき、そもそも日本とは何かと文化へ分け入って行って、もはや這いあがれないほど深みにはまってしまいます


・外国人が必ずぶつかるのが、いわゆる「日本人の曖昧さ」「日本人独特の距離感のあり方」というものです。それを象徴するものとして、相手のlことを「察する」という精神文化があります。その背景には日本の風土が大いに関係しているということです。寒すぎない地帯で、適当に雨が降り、湿気があって(=温暖湿潤気候)、しかも春夏秋冬がはっきりしている地域は、世界広しといえどもそうそうはありません。四季がはっきりしているということは、自然の動きに敏感になっていくことでもあります。いかに恵まれた風土かということをしかり認識してください。


・日本の国土では、高地、平野、沿海地方の距離はきわめて近く密接であり、まるで大陸の地形間の距離を一気に圧縮したかのような、地形の縮図ともいうべき景観が形成されています。海富山と平地・水田が溶け合って風土がつくられ、山の神様も農業の神様も、みな間近なところにありますから。それぞれの民の考え方が融合して文化が作られて行きました。外国人から見ると、非常に集団的、協力的に見える日本人の国民性は、まさにそうした風土から生まれてきたのです。


・世界の中でも日本という国は最も「旅の文化」が発達した国なのです。「旅館文化」は、外国人には理解できない。どうして、混雑の中、車や新幹線で何時間もかけて出かけ、旅館に一泊して帰ってくるのか。たとえば韓国の旅館は、純粋に休むためや寝るための宿泊施設であり、そこで料理やお風呂を楽しむという習慣はありません。一方、日本人は旅に出て旅館に泊まれば、必ずその土地の料理をいただいて帰ります。これはその地域の霊力をいただくという発想が根底にあるからです。そして、温泉に浸かって「極楽、極楽…」という愉しみがある。この極楽とは、天国の意味ですね。


・古来、日本人が旅に出る目的は、庶民では多くの場合お寺や神社に「お参り」することにありました。「この世」と「あの世」を行き来することで、心身がリフレッシュ(再生)される感覚を味わったのだといわれます。そして日本人は旅に出ても、家族や仲間のことをちゃんと忘れていませんね。その証拠に、日本ほどお土産文化が発達している国はありません。旅先の特産品をお土産として買って帰ることは、江戸時代から今に至るまでずっと続く、日本人ならではの風習です


・私はこれまで、刀工や陶工、大工、工芸職人、和菓子職人や寿司職人など、日本のさまざまな伝統技術者に直接会っていろいろと話を聞いてきました。そこでわかったのは、職人さんたちはみな「自然生命の声」を聞く能力を持っていることです。たとえば、刀工にとって鉄は生き物であり、陶工にとって土は生き物であり、塗り師にとって漆は生き物であります。自然素材の側からの生きた働きに感応して腕をふるう―そういう気持ちが職人さんたちの中にはあるのですね。

ところであなたには、「鉄や土や漆が生き物である」という感覚が理解できますか。


<中国人留学生A − 考えられないです……> 


では日本人はどうなのでしょうか。あなたはその感覚がわかりますか。


<日本人学生A − なんとなくわかります>


日本語に表現には、「木々がささやいている」「風が呼んでいる」といった、自然をあたかも人間と同じようにみなす表現がことのほか多いのが特徴です。日本人は自然と人間を無意識のところで「同じ」だと考えいるのではないでしょうか。


天皇は、濃厚司祭としての農耕王であると同時に自然の山海林野を管掌する自然王でもあるという、他国には類を見ない特異な王でした。そのように、古くからの自然信仰と天皇の権威が結びついていたことが重要です。もし、「天皇制」という言葉を使うなら、それは自然としっかり結びついた宗教権威に対する「国民受け身」のシステムといえるかもしれません。その意味で、天皇について考えることは、日本文化そのものを考えることにつながると思います。また、そうした「天皇制」のあり方は、戦後、日本が世界にも稀に豊かで、なお分配の平等な社会を築き上げてきたことと、決して無関係ではないでしょう。


・日本には世界に誇るものは何もないと考えるなら、それはよほど日本を知らない日本人(あるいはアジア人、西洋人)だということです。戦後世界一貧富の格差の小さい平等な社会を実現した経済、外国にはもちろん国民にいっさい銃口を向けることのない軍隊、伝統的な職人技から世界最先端のテクノロジーを抱える技術の宝庫、世界で最も治安のよい安全な社会…日本には自信を持って世界に誇れ、世界に伝えて貢献できるものがたくさんあります


その他、「なぜ列にきちんと並ぶのか」、「日本語はなぜ受け身を多用するのか」、「なぜ日本には武士が生まれたのか」、「天皇はいかにして日本社会に平等をもたらしたのか」「日本人はなぜ旅に出るのか 」、「美の大国」日本はいかにして生まれたか」、「なぜ日本人は穏やかなのか」…は、我々日本人には目からウロコ! おススメ!