「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜痛快ホームレス小説!?…『ヤッさん』(原宏一)

ヤッさん

ヤッさん

私は図書館を自分の書庫だと思っている。いつも使うのは品川区大崎図書館と品川図書館、そして横浜市中央図書館。(^。^)
常に20冊借りていて、20冊予約しているのだ。そのリズムはもう10年以上になるけど、読み終えた本たちを返す頃にちょうど予約の本が用意されているという我ながら実にムダのない方法だと思う。図書館にない本は買うけどね。そして、「図書館予約リスト」というものを作っていて、次に読みたい本をリスト化してある。新聞の書評に掲載されていたり、ウワサの本などが数百冊リスト化されているのだ。


さて、この本が届いたときに、「はて…ナンだっけ…。ビジネス書でもないし…なんで予約したのかな!?まあ、いいか読んでみるか!」と思って読んでみたら、予想外にめちゃオモシロイ!!!(^。^) 


書評にはこうある。「誰が呼んだか“銀座のヤス”。親しみ込めて“ヤッさん”築地市場と一流料理店を走って回り、頼られる謎の男。自分がなぜ宿無しかは語らないが、驚きの舌と食の知識を持つ。新米ホームレスのタカオは、ひょんなことからヤッさんに弟子入りして、「驚愕のグルメ生活」を味わうことに。市場も銀座も、最高に旨くて、人情はあったかくて、さっぱりと気持ちがいい。だが、誇りを持って働く現場には事件も起こる。ヤッさん&タカオの名コンビが、今日も走る。」

果たして、ヤッさんの正体とは?その中身とヤッさんの名言集を少しだけ紹介しよう。


・「ホームレスなんですかって馬鹿野郎っ、おめえ、やっぱりモグリだな。銀座のヤス、ヤッさんつったら、この界隈じゃまず知らねえやつはいねえぞ」


・「ホームレスだからこそ体力がなきゃだめなんじゃねえか。おれたちにゃ健康保険も医療保険もなにもねえんだ。長年ホームレス張ってくつもりなら健康維持は生命線だ。健康のためなら死んでもいい!それぐれえの根性決めて頑張んなきゃな」


・タカオも仮眠するかと隣のベンチに横になった。その途端、馬鹿野郎っ、とどやしつけられた。「ベンチを二つも占領してどうするっ。堅気の方々の迷惑になるだろがっ」一つのベンチに二人並んで、座ったまま寝るのが礼儀ってもんだ、と怒られた。「都会の恩恵を受けて暮らすホームレスは、いつ何どきも謙虚な心と感謝の心を持たなきゃだめなわけよ」


・公園のベンチ一つといえども、ちょっとお借りします、という気持ちで座らなければいけない。夜寝るときも、間違っても段ボールハウスなんてものに寝てはいけない。「おれたちの基本は野宿だ。雨露をしのぐときには軒先を借りるが、長く居すぎたと感じたら目障りにならないうちにとっとと移動する。それぐれえの気配りをしなけりゃ世間様に申し訳がたたねえじゃねえか」ヤッさんにはヤッさんのホームレス哲学というものがある。


・「おれは伊達や酔狂でホームレスをやってるわけじゃねえ。おれにとってホームレスは生き方だ。この生き方を全うすることがおれの人生なんだ。おめえにその覚悟はあるか?それが定まらねえうちは、おめえはいつまでたっても半人前だ。わかったな。」


これ、テレビドラマ化か映画化したらヒットするんじゃないかな?新米ホームレスのタカオが、食と体力に対する自信はもちろんだが、それに加えて、家がなくても金がなくても財産がなくても自分の力で立派に生きていける自信が芽生えてきたというのは、ナントもたくましい。野生の時代にふさわしいなあ。(^。^)


「ホームレスのグルメ帳」、「ラブミー蕎麦」、「籠城レストラン」、「築地の乱」、「松の木コテージ」、「ターレの行方」の六話収録されているけど、ラストの章はホロリとくるなあ…。純愛小説ともとらえることが出来るよ。ホント面白かった!オススメです!(^_-)-☆