- 作者: 池田晶子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2007/06/29
- メディア: 単行本
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言葉が研ぎ澄まされているというか、深いねえ…。(^。^) 哲学者って自分の頭で徹底的に考えて、考えて、考え抜いて言葉を紡ぎだしているんだね。「人生という不可解な旅。めぐる季節の中で、暮らしの中で問い続けた存在の謎。著者の最後の1年間が綴られた、考える歳時記。 人生という不可解な旅」そのエッセンスを紹介しよう。
・とくに現代人は、体は「自分」もしくは自分の「もの」で、自分の意志でどうこうできるものだと思っています。いや何よりも驚くべきことは、なんと、体は自分が作ったものではないということだ。自分が作ったものではないものが、自分の意志を超えているのは、当たり前のことなのだ。自分が作ったのではない、では誰が作ったのかといえば、言うまでもなく「自然」です。自然は人間の意志を、どうこうしようと賢しらな意図を、完全に超えている。なるほど肉体を自分だと思うのは、ある意味では間違っていない。しかし、その自分であるところの肉体は自然だ、自然は自分を越えている、ゆえに自分は自分であり自分でないという不思議の構造に気がつくと、これはこれでまた広い所へ出られます。
・明日、私は確実に死ぬ。こうわかった時、あなたは、どうしますか?あなたは、必ず「言葉」を求めるはずです。生死すなわち人生の真実を語る言葉、正しい考えを語る正しい言葉を、必ず求めるはずなのです。そうしてそれを古今の哲学書、宗教書、聖書や教典の中に探し出そうとするでしょう。あるいは、誰でも誰か知っていそうな人に尋ね、聞きだそうとするでしょう。苦難や危機に際して人が本当に必要とするものは、必ず言葉であって、金や物ではあり得ない。だから、人を救うことができるのは言葉であって、その意味では言葉こそが命なのだと、私は言うわけです。
・超能力なんてそんなもの、いったい何が凄いんですか。「超」と騒ぐより先に、普通の「能力」の凄さに、気がついたらどうですか。本当に凄いことは。ごく普通の当たり前のことなのだというのが、かねてからの私の持論です。これが他でもない「言葉」でしょう。言葉が人の心を動かすとは凄いことではないか、言葉の力とは何の力なのか。人の心とはそのまま宇宙だから、心を動かすとは宇宙を動かす、宇宙を変えることなのだ。これはまぎれもなく魔法ではないか。我々は、このままで、すでにして、魔法使いではないか。
・そもそも、このコンピューター社会の基本理念であるところの「便利」という思想、これが諸悪の元と言えます。「便利」の何が、いいことなのか。「便利」の別名は、「早い」ということでしょう。手間が省ける、時間が省ける、目的地に早く着く。つまり時間が短縮できるということが、現代人にとっての価値なのですそれなら人はいったい何のために、時間を短縮したいのか。何がしたくて、何の時間が欲しいのか。改めて考えると、これが全く明確ではない。
はあ〜深いなあ…。考えさせられるなあ…(・。・)他の著作も読んでみよう。オススメ!