- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/04/08
- メディア: 文庫
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「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」と我が子を校内で亡くした女性教師の衝撃の告白からスタートする話は新人離れした圧倒的な筆力でグイグイ読ませる完成度。あっというまに引き込まれ読了!
全体の構成は、「聖職者」「殉教者」「慈愛者」「求道者」「信奉者」「伝道者」の韻を踏んだ漢字三文字の六章から成り立つ。それぞれ「被害者の女教師」「級友」「犯人Bの姉」「犯人B」「犯人A」「再び女教師」のモノローグで語られるんだけど、語る立場が変わるたびの事件の真相や見方や解釈が変わっていくのだ…。
そして、さりげなく書かれているのが、性同一性障害、モンスターペアレント、子供を溺愛する母、親子殺人、少年犯罪と少年法、エリートとマザコン、シングルマザー、HIVとエイズ、法律は誰を裁くのか、熱血教師とシラケている生徒、いじめ、離婚と再婚、人はどんなときに殺意を抱くのかなど、まさに現代の日本社会を象徴するような内容、そして衝撃のラスト四行!(・。・) ええ〜!なんじゃあこりゃあ!
文句なしに今年読んだ本のベスト10に入るね!中でも印象な文章を紹介しよう!ぜったいオススメ!
・殺人が犯罪であることは理解できる。しかし、悪であることは理解できない。人間は地球上に限りなく存在する物体の一つにすぎない。何らかの利益を得るための手段が、ある物体の消滅であるならば、それは致し方ないことではないだろうか。文章で表す道徳観念など、学校に入ってからの単なる学習効果でしかないということだ。
・価値観や基準というものは、生まれ育った環境によって決められる。そして、人間を判断する基準値は、一番最初に接する人物、つまり、大概の場合は母親によって定められるのではないかと思う。たとえば、厳しい母親に育てられた人は、この人は優しい人だ、と感じ、優しい母親に育てられた人は、この人は厳しい人だ、と感じるように。
告白 湊かなえ 双葉社
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