「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「晴れた日に かなしみの一つ」(上原隆)

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久しぶりに読みました、上原隆さんの本。「ノンフィクション・コラム」ってよく名付けたね〜!上原さんならではの世界がここに。感心し、考えさせられる。そして歌が生まれそうだ!♪

 

新婚の息子をひき逃げ事故で亡くした父親、希望退職を迫られた会社員が胸にしのばせるお守り、アルコール依存症の母親を許せなかった息子の後悔、夭折した部下に元上司が送り続けるファクス……あなたの隣にいるかもしれない、“普通の人々"が心の中に持つ特別なドラマ。人は苦難に陥ったとき、何を心の杖として立ち上がるのか。暗闇に希望の灯りがともる瞬間を切り取った珠玉のノンフィクション・コラム。(『こんな日もあるさ』を改題して文庫化)そのエッセンスを紹介しよう。

 

十代の頃からずっと表現することを仕事にしたいと思っていた。だからといって何か得意なことがあったわけではない。また、表現せずにはいられないような特別な体験があったわけでもない。ただ、表現したいという思いだけが強かった。自分の表現というものがつかめないまま、四十代になったある日、それまで考えてきたことを模造紙一枚に表にしてみた。そこには、誰かに褒められたこともなく、才能のかけらもないのに、ただ表現したいともがいている男の姿があった。「痛いな」と思った。〈私は、そこいらにころがってる小石のような存在だな〉と感じた。そのときふと、これは私だけの問題じゃないんじゃないかと閃いた。

 

・この問題意識を手にして、様々な人に話をきいてみることにした。そうして出来上がったの短い文章の形がノンフィクション・コラムだ。二百人以上の人と向き合い、話をきき、いっしょに泣き、ともに行動し、原稿を書き、読んでもらい、そして発表した。

 

・多くの人が自分を支える杖を持っていたことを思い出す。ある人の杖は、「L'Arc~en~Ciel」の歌だったし、また、ある人の杖は江原啓之さんのスピリチュアル本だった。自分のヌード写真を大切にしていた人もいたし、「私よりもっとひどい生活をしている人はいる」という言葉で自分を支えている人もいた。人によって様々だ。私はそれらすべてを、生きていくためには肯定すべきだと考えた。「困難なときに自分を支えるもの、それがどんなものであっても、その人を支えるならが、意味がある」これがノンフィクション・コラムを書いてきた経験から得た教訓だ。そして、私にとっての杖は何かを考えたとき思い当たるのがこれらの文章だった。

 

・婚活している彼らに共通しているのは、探せば理想の相手と出会えると思っている点だ。そしてこれが婚活ブームがふりまいてきた気分だ。この気分は目の前に相手がいるときに、もっと良い条件の人がいるのではないかと耳元でささやく。こうして、いつまでも相手探しをつづけることになる。相手を断り、自分も断られつづけることで、婚活をしている人たちは心の奥底で傷ついている。婚活は、結婚の近道のように見えて、逆に結婚を遠ざけていた。


その他、「セーターに顔埋めて」「希望退職」「パチンコ」「声にならない悲鳴(49歳農楽博士)」「「婚活」しても結婚できない」「タクシー会社25時」「ぼくのおじさんレーニンだった」「わたしに戻っておいで」「別れ話は公園で」「葬送の海」「生きる理由が見当たらない」「つらい記憶はこころの底に(躁鬱病)」「文身(入れ墨)」「ずっと母を殺したかった」「八年目のファクス(根本、おっつ〜)」「ログハウス」「最後のひと仕事」「父と娘」「「Once Upon a Time」というバー」など。

 

取材されたいなあ。何を話せるのかな。何気ない普通の人生にドラマがあるよね。オススメです。(・∀・)

 

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