- 作者: 武田鉄矢
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/01/18
- メディア: 単行本
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SAトレーナーブログ 小野塚:薄毛の人がいない町!?
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さて、福岡に来ています。(゜o゜) 福岡といえば、数多くの有名人やミュージシャンを輩出した土地。…ということで地元出身の武田鉄矢氏の最新作を取り上げましょう。ご存知のように、坂本竜馬を師と仰ぎ、ドラマでも「坂本」を名乗り、「海援隊」というグループ名をつけ、竜馬を主人公とした漫画の原作まで書いた「金八先生」。数多い竜馬本とはちょっと異なるひとり言でもあり、熱いメッセージでもあります。そのエッセンスを紹介しましょう。
・遠い時代に何事か成し遂げたその人物を、ひとりの男のことをあなたに語りつくしたいと思います。男の名前は坂本竜馬といいます。私は十八の夏「竜馬がゆく」で司馬遼太郎という希代の作家の筆によって醸成された小説世界に吸いこまれ、十八の私は幕末の竜馬とともに旅に出ました。自分の人生の中心線に竜馬がいました。奇妙な読み物になりますが、その時からの竜馬へのひとり言を書き連ねてみませんかという構想の恥ずかしさです。
・土佐藩郷士で土佐勤王党の武市半平太は思想の人でした。思想とは答えです。答えから世界と人間を見る方法です。答えに合わせて世界を見ますので、足し算・引き算のように有用・無用で人でさえも割り切れます。竜馬は違います。竜馬は答えではなく、「問い」を持つ志士です。足し引き算と、そして掛け算、割り算が世間にあることを知っています。おそらくは坂本家200年の商家の血筋が、世間の仕掛けを見抜く個性を織りあげたのでしょうか。金銭を扱う才谷屋の実務が、世間を裸眼でみる視力をこの若者に授けたのでしょう。
・『人の命はみじかいわい。わしに、なんぞ大仕事をさせてくれんかネヤ』。「わしの大仕事」が彼の人生への問いです。その問いのために、ひとりは当然と割り切り、夢に賭ける行動、それが脱藩でした。
・竜馬に坐像の写真があります。ゆったりと足を広げて投げ出し、椅子に座る一枚で、立像の写真に比べて、やや横顔の面構え。本人も座ってリラックスしたのでしょうか、肩の力抜け、両手を組んだポーズです。ご覧になると判りますが、両肩の筋肉の厚みが感じられません。女性でもこれほどのなで肩の人を探すのは難しいでしょう。まるで、両肩を脱臼させたような、ダラリとしたなで肩です。ところが、このなで肩こそ腕に覚えのある剣客の体躯の証しだといいます。(古武術の甲野善紀氏)
氏の理説でで強調されているのが脱力です。身体のどこかに殺気や先読みが籠ることを「居着き」と呼んで未熟と戒めたようです。その「居着き」がもっとも生じやすきところが両肩。それを肩から消すことがサムライの生死を分ける技術となるわけです。これでなで肩の竜馬に惚れ直した次第です。
・勝海舟は日本人を創りたかった。そのひとり目に選ばれたのが、竜馬です。海舟が志したのは、勤王、佐幕、公武のいずれも属さない、世界史で闘える日本人による集団、今様に名づければチーム・ジャパンです。その集団を野球に例えれば、竜馬はキャッチャーの逸材です。しかも、彼にはプレーイング・マネージャーの才があります。バッターボックスの的打者の膝元近くに身を屈、自軍選手の動きのすべてを把握し、守備位置を密かに動かして、これを打ち取る。幕末の英雄の中で、捕手の才能を持つ者は天下に竜馬しかいません。司馬氏が竜馬を維新史の奇跡と呼ぶのは、この男を捕手のポジションにつけた海舟との出会いの奇跡でもあります。
その他、「井上陽水の母堂から直接聞いた井上家と竜馬との関係」、「よさこい」と「夜さ来い」、「坂本家と明智光秀」、「近江と竜馬」、「龍馬のブーツと深きコンプレックス」、「海人と無文字文化」、「千葉佐那と養子・竜太」、「平方根の法則と竜馬」、「敵を作らないというテクニック」などは、初めて耳にする話もおおく武田氏ならではの切り口で読者をグイグイ引っ張ってくれる。文句無しでおもしろい!おススメです。(^J^)
武田鉄矢商店
http://www.takedatetsuyashouten.com/takeda/index.html