- 作者: 指南役
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2008/07/08
- メディア: 単行本
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この本はその空気の謎をテクノロジー化(?)した本。著者は、以前紹介したエンターテインメント企画集団「指南役」。
BOOK〜すぐれた企画のツボとコツ!…『「考え方」の考え方』
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20100109
ありそうでなかった本。さて、その空気の正体とは!?そのエッセンスを紹介しよう。
・今の若者たちが、嫌うのは、「自分が仲間から浮いていないか?」の一点。だから八方美人に色々な所に顔を出し、常に仲間と同調していようとする。、同じ空気を吸っていようとする。同じ空気。大事なのはこれ。そんな時、グループ内で同じ空気を吸っていると言い訳できる便利な言葉がある。それが、「○○って、KYじゃない?」そう、誰か、一人を仮想敵に仕立てることで、それ以外のメンバーは「空気が読める」という一点で結束できる。
・とかく世間は新しい才能に冷淡である。新人漫才師が、お笑いの登竜門で審査員にコテンパンンにやられたり、新人のピン芸人がオーディション会場でプロデューサーや放送作家からダメだしされるのも同じである。人はとかく新しい才能を叩きたがるもの。そうすることで、自分たちの旧来の世界の秩序をまもろうとしているのだ。 空気を一つにして。
・盛り上がる合コンの条件とは、一人のピエロがいる合コンである。思い出してほしい。雰囲気のいいお店を選び、美女を揃え、ノリのいいメンバーで臨んだはずの合コンが、それほど盛り上がらかったことを。一人のピエロ。要は男女どちらからも突っ込まれやすいキャラの人物がいる合コンは異様に盛り上がる。合コンに必要なのは、一人のピエロ。
・モノゴトの判断を最終的に決めるのは理屈やデータじゃない。空気である。どんなに完璧なデータが揃っていても、それを言いだせる空気がそこになければ、そのデータは何の効力も発揮しない。空気の前では、人間の理性は無力なのだ。
・バラエティ番組は、大抵、集録前に「前説」が行われる。前説とは、若手の芸人などが観客に対して漫談やコントなどを行い、客席の空気を暖める行為。そうすることで、本番が始まってすぐに観客笑える空気になっている。出演者のトークやリアクションに即座に反応できるのだ。これが前説をやらなかったら、客席の空気は冷えたまま。十分にボルテージが上がっているタレントたちとの温度差がありすぎるのだ。
・空気には温度がある。それを見誤ると、伝わる話も伝わらなくなる。相手に話を伝えたいのなら、まずは場の空気の温度を読むこと。それで温度が低ければ、最初は無駄話から入って徐々に空気を暖めていく。よく、会議に入っても一向に無駄話ばかりで本題にいかない人がいるけど、あれば「場を暖める」という意味がちゃんとある。
・駅弁ってホームで購入して新幹線や特急電車に乗り込んでも、すぐには食べないと思いません?発車のベルが鳴り終わり、走り出してしばらく経ってから、やっと包装紙を開けて食べ始める。なぜ?車窓だ。暗いホームで駅弁を食べるのは楽しくない。せっかくの駅弁。車窓から外の景色を見ながら、明るい空気のもとで味わいたい。
なるほど!一流の芸人や落語家の真打、マスター・ヒューマンやマスター・コミュニケーターは、一瞬でその場の空気を変えちゃうもんね!これはスゴイことだね。(^^♪
その他、「テナントが根付かない空気」、「ローカルな空気に乗り切れなかった巨人(ジャイアンツ)」、「「ザ・ベストテン」のカオスな空気」、「空気も腹八分目がいい」、「悪い空気もそのうち消える」、「恋愛の感情は、距離に比例する」、「一流選手がPKを外す空気」…などもナットク。オススメよ。(^^)