一日一冊一感動!小野塚テルの『感動の仕入れ!』日記

タイトルは、『一日一冊一感動!小野塚テルの感動の仕入れ!』日記。 毎日の読書、映画、グルメ、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。(ときどき「酒場のギター弾き」「B級グルメ」も紹介します)

「芸人最強社会ニッポン」(太田省一)

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芸人最強社会ニッポン (朝日新書)

芸人最強社会ニッポン (朝日新書)

 

どのチャンネルを見ても「お笑い芸人」を見ない日はないね。スゴいね!

 

政治、文学、司会者、ニュースコメンテーター……どこもかしこも芸人だらけ!?
お笑いという垣根を越え、「芸人」という肩書はもはや“万能化"した!「ソツのなさ」「人当たり」「空気読み」、そして「コミュ力」や「座持ちのよさ」が過度に求められる現在の日本社会。その深層を、戦後日本の「芸能史」を縦軸に、「笑いと日本人」を横軸に、縦横無尽に描きつくす」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・現在の日本社会を本書では「芸人万能社会」と呼びたい。なぜ、ここまで芸人がもてはやされるようになったのか?その理由は、芸人が有能だからというだけではない。私たちが芸人にそうあることを求めたからでもあるのだ。そこには、戦後の復興がもたらした総中流階級意識とテレビの普及の2点が歴史的基盤としてあると私は考える。そしてそのなかで形成された「新たな世間」と個人の関係、また空気を読むことへの過剰な圧力など、戦後日本独自のコミュニケーションのあり方が大きく関わっている


・2015年お笑いコンビ・ピースの又吉直樹『花火』芥川賞を受賞した。「なぜ受賞を機に、又吉が本格的に作家への転身を図ろうとしないのか」2016年、オリエンタルラジオの新ネタ「PERFECT HUMAN」が「お笑い」の枠を飛び越えて「音楽」の分野で爪痕を残した。このようなジャンルを超えた芸人の活躍で、現在の芸人たちに直接影響を及ぼしたという意味では、ビートたけしの存在が大きい


・いまでは想像もつかないことだが、芸人全般が長らく差別の対象になっていた時代があった。かつて芸人は「河原者」「河原乞食」といった蔑称で呼ばれていた。現在有るような諸芸能を担ってきたのは、体制からはみ出し「賤民」とされた人々だったからだ。1966年ビートルズが来日した際に有名評論家が「乞食芸人に武道館を使わせてたまるか」という趣旨の発言を醸し出した。いまは隔世の感すらある。


・いつしか芸人は憧れの職業のように語られ、尊敬の対象にさえなり得るようになったのは70年代後半から80年代にかけてのこと。ビートたけし「オレは、芸能界で漫才師としてひどい差別をうけていた。ところが萩本欽一さんがでてきたあたらいから、お笑いタレントのギャラは普通のタレントより下じゃ嫌だということをいいだした。お笑いというのは、歌とか芝居とかよりもっと難しいことなんだからといってどんどん(ギャラを)上げてきた」


・近年では役者、映画監督、歌手、コメンテーター、政治家にいたるまで、あらゆる分野に芸人が進出しているが、どの芸人も一人として芸人であることを辞めようとしないのだ。その理由は、すべてを「笑い話」にできるという彼らの職業がもつ特殊性によるところが大きい。成功すれば「芸人としてだけではなく◯◯分野の才能もある」と称賛されるのは、もちろん、たとて失敗してもそれがネタとして受け入れられるのだ。どんな失敗をしても社会的な評価に対するダメージをほとんど負わずに済むのだ。

 

・芸人が無敵化する理由はもうひとつ。それはメディアにおいて、芸人の本質たる「芸」が求められない空間が形成されているという点だ。漫才、コント、ギャグ、ものまね等のネタは一時的な生モノであって、ブレイクするきっかけにはなるが、瞬く間に消費されてしまう。その後も芸人がメディアで長く生き残り続けるためには、別の能力が問われる。それは訓練によって生み出される本義としての芸ではなく、周りの状況から自分の立ち位置を的確に把握し、相手が求めている言葉を瞬間的に発する能力、すなわち「コミュ力の高さ」である。現在の若手芸人は「フリートークができるかどうか」が、ブレイク後のひとつの試金石となっている。つまり芸人でありながら、本義での「芸」を評価される場(機会)が消滅した状態にあるのだ。これは裏を返せば、芸人として評価の下がりようがない状態、すなわち「無敵状態」にあると言っていい。

 

「なぜ芸人だけが、このように極めて自由度の高い社会的ポジションにいられるのか?」それは、誰に対してもあらゆる局面においてコミュニケーション能力の高さを過剰に求める社会的要請のほうに原因があると私は見ている。

 

特に、「芸人万能社会の誕生 1960年代〜90年代」「アイドル化する芸人「欽ちゃん」と「24時間テレビ」」「萩本欽一による「素人」の発見、その戦後史的意味」「芸人身分の飛躍的向上を果たした「お笑いビッグ3」」「「コミュ力」至上主義ニッポンと笑いのプロとしての芸人」など。

 

この分析は鋭いねえ……これで科学的に「お笑い芸人」 の道を目指す人も増えるんじゃないかな。超オススメです。(・∀・)

 

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芸人最強社会ニッポン (朝日新書)

芸人最強社会ニッポン (朝日新書)