「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」(ナイツ 塙宣之)

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 浅草演芸ホール新宿末廣亭でかなりの確率で観られるのがお笑いコンビのナイツ。テレビと違って寄席は時間も長いし、テレビでは言えないことを言ったりとかその場を空気を感じることができてホントにオモシロイ、楽しいっ!

 

さてこの本、前から気になっていましたー!「2018年、M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、“絶対漫才感”の持ち主が存分に吠える。どうしてウケるのかだけを40年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどりついた現代漫才論とは?漫才師の聖典とも呼ばれるDVD『紳竜の研究』に続く令和時代の漫才バイブル、ここに誕生!」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・2018年M-1グランプリ決勝で、なぜ霜降り明星を選んだのか。発想力でいえばジャルジャルうまさで言えば和牛の方が格段に上です。でも、霜降り明星には、上手い下手だけでは語れない、芸人としての強さがありました強さー。芸人を見ていると、そうとしか表現しようのない何かを感じることがあります。なぜ、そこにこだわるかというと、僕にないものだからです。欲しくて仕方なかったけど、最近、わかりました。未来永劫、僕には手に入れることはできない。でも、だから、より敏感に感じ取ってしまうのかもしれません。
 
・小学校四年生のとき、幼稚園でウンコを漏らした話をネタにウンコの歌』を作って「お笑いデビュー」してからというもの、目が覚めている間中、考え続けてきたこと。何を考え続けてきたか。どうしたらウケるか。この一点です。僕はそこだけに生きる意味を見出し、人生の山を超えてきました。一種の病なのだと思います。「笑い脳」という。どうしたら人を笑わせることができるかを常に考えていなければならない。もう脳が完全に容量オーバーで、限界で、アウトプットしないと、新しいデータを入れるスペースがない。この場を借りて大いに語ろうと思います。この本は、ぶっちゃけ、言い訳です。負け惜しみです。青春時代、恋い焦がれたM-1に振られた男が腹いせで本を書いているくらいに思っていただければ幸いです。では、言い訳を始めます。
 
漫才はお客さんと一緒に作っていくもの。ここまでならウケるけど、これ以上言うと逆に引いてしまうんだな、とか。その感覚は、お客さんの前でやってみないことにはわかりませんそうして毎日、少しずつ変わっていきます。そういう意味では一生練習していくものなのかもしれません。
 
漫才の特殊なところは、すべてのお客さんが笑いに来ているという点です。そんなエンターテイメントは、他にはそうはないですよね。芝居や映画、コメディーでも「笑いあり、涙あり」笑いだけで一時間から二時間も客を惹きつけることなどほぼ不可能です。小説や漫画もずっと笑わせることは不可能です。落語も似ているようで少し違います。「滑稽噺」と「人情な噺」という二大ジャンルがあります。でも漫才ライブに来てじっくり聴こうかとか、ホロッとさせてくれと思っている人はまずいません。笑いすぎて涙が出ちゃったという人はいるかもしれませんが。
 
オール巨人師匠は「七、八ぐらいの笑いがコンスタントにあって、最後の30秒で九、十の笑いがどっかん、どっかんくるのがいい」と言いましたが、僕もそれが理想だと思います。M-1歴代王者は、ほぼ例外なく、この展開に持っていっています。つまり「数」もあり「大きさ」もあった。ただM-1の歴史の中で、一度だけ笑いの数を増やす」という定説を覆しかけたコンビがいます。2010年のスリムクラブです。
 
・よく「芸人ってお仕事は大変ですよね」と言われます。とんでもないです。正直、楽です。もっと言えば、芸人以外の道で生きていく自信がありません。僕は普通の人と違うことを「芸人」という姿を借りることで隠して生きているのです。芸人として生きるしか術がなかったのです。
 
何だろうな、あのM-1の緊張感は。生きるか死ぬか。戦場を経験したことはないですけど、戦場って感じがする。いつも通りやるなど、不可能。
 
僕らの本職はあくまで寄席です。15分のステージで、淡々と、ゆったりやる芸のほうが合っています。基本、ローテーション漫才なんです。大会前、急ごしらえで4分の練習をするのではなく、常日頃から、4分、5分のライブに出ているやつの方が強い。僕らに足りなかったのは、そこだったと思っています。
 
・今、僕が自分でお金を払ってでも観に行きたい漫才師のナンバー1は笑問題です。同じ時事ネタをやる者同士、今年のニュースをどうやって斬るのだろうと楽しみで仕方ありません。時事ネタ漫才ができるコンビは、言ってみれば「フグの調理師免許」を持っているようなものだと思うんです、。つまり、世相の毒抜きがうまい爆笑問題の毒抜きは天下一品です。
 
笑い飯は一言で言うと、何もかも強い。ただ、強すぎる。それが弱点といえば弱点だったのかもしれません。笑い飯は、漫才界のエルビス・プレスリーですエルビスは、ビジュアルといい、声といい、歌いっぷりといいすべてが型破りでした。だから模倣しようにも模倣できなかった。唯一無二の存在です。ダブルボケを模倣した若手が急増しましたが、およそ似ても似つかないものでした。
 
「大阪は漫才界のブラジル」「M-1は100m走」「ダウンタウンの『「あ」研究家』『誘拐』」「プリン職人ならプリンを作りなさい。漫才師ならネタを書きなさい」「海砂利水魚の「たとえツッコミ」など。

 

なーるほど。確かに新しいお笑い論だねー!同じ芸人として(!?)勉強になるなー!超オススメです。(・∀・)

 

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