「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜縁の下の力持ちの生き様とは?…『打撃投手』(澤宮優)

打撃投手

打撃投手

今年のプロ野球も、ジャイアンツの7年ぶりの日本一で終わったね…。(^^ゞ またシーズンオフという淋しい半年を過ごさねばならない…、淋しい…。(T_T)さて、こんな時は野球関連の本で楽しもう。先日取り上げたのは、コレ。


BOOK〜野球の女房役とは?…『キャッチャーという人生』
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20091109


そして今日取り上げる本は、日の目を浴びるスタープレーヤーの陰に隠れた打撃投手の本。これがなかなか深イイ内容なんだよね…。打撃投手の元祖とは?から始まって、打撃投手から一躍大投手にとなった二人(小山正明稲尾和久)など興味深い内容が満載。そのエッセンスを紹介しよう。


・打撃投手(バッティングピッチャー)は、選手の打撃練習のために専門に投げる投手のことで、各球団とも常時10名から8名程度を抱えている。彼らは球団の支配下登録選手の扱いを受けておらず、球団のスタッフとして一年契約で雇用されている。しかし、この制度は日本のプロ野球界だけに見られる独特の制度である。たとえば、アメリカではどちらかと言えばピッチングマシーンを使った打撃練習をおこなう方が多く、生きた球を打つ場合には、監督やコーチが打撃投手として投げることになる。また、打撃投手をやりながらスコアラーや用具係の仕事を兼ねていることが多い。


川上哲治・巨人元監督

「(昭和36年ごろか?)バッティングのための専門の投手については試合前の30分前の打撃練習のときにコントロールのいい投手で、球威の落ちた選手にお願いして本人も納得の上でやっていました」

最初の頃は、打撃練習には肩の良い野手が交代で投げていた。それが徐々に控え投手が投げるようになり、試合数も多くなると練習時間も長くなる。それと同時に人数が足りなくなり、また打球が投手の体にあたりケガをすることも多くなってきた。そのため打撃練習専門に投げる投手の必要性が検討されるようになった。


・打撃投手一号 近藤隆正氏(巨人)

「川上さんは、私の素質を見破ってしまったわけだ。この子はせいぜい働いても繋ぎの一回か二回くらいじゃ、五回は持たんじゃろと。そげなものをつくるよりも、長嶋、王、広岡を三割打たすほうが球団のメリットになるということなんです」

投げながらも彼の胸の内は不服でいっぱいであった。自分の人生がこのままで終わってしまうのか、と。近藤は遠征先の外出でいつも長嶋と一緒だった。よく二人で映画を見に連れて行ってもらったときもある。ホームランの商品も近藤に渡した。いつしか周囲は近藤のことを「長嶋の恋人」と呼ぶようになった。


「王の恋人」と呼ばれた峰国安氏(巨人)

「悪いけど打撃投手というのは現役選手より一ランク、二ランク下に置かれているわけだから。自分のプライドを捨て去ることが先決だね。“俺は昔は”という感じを持ったら絶対にいいボールは放れないし、いい仕事はできないと思いますよ。その気持ちを捨てて初めていいボールが投げられるんじゃないかな。だから難しいと思いますよ。裏方をやった五年間は僕の人生でもよかったなと思っているんですよ。今、スナックをやっていると、自然に頭を下げられるんですね」

後楽園球場で王が自分の車のキーを渡し、車の後ろにウイスキーが入っているから受け取ってくれと言うのである。一本か二本だろうと思って、峰が車の後部シートを開けてみると、ダルマと呼ばれる大きなウイスキーがぎっしりとケースごと置かれてあった。王は峰の酒好きを知っていてわざわざ買ってきたのである。


・「王の最後の恋人」山口富夫氏(巨人)

「打撃投手としてのプロ意識を持てと言いたいですね。いいボールを投げるためにはどうしたらいいかもっと自分で考えろ。ただ投げるだけだったらマシーンと同じじゃないか。俺は100球投げたら絶対に100球ストライクを投げるんだとか、そんな意識を何か持つべきじゃないか。ただ今日投げて明日投げればいいというものではないと思うんです」


・「元南海ホークスのエース」 藤本修二氏(阪神

「投げることをまっとうしたい。投げられる間はずっとね。投げる力はあるのに辞めることはしたくないと思ってるんですよ。どういうかたちであれ、ボールを握っていたいんですよ。これしか技術ないですもん」


…ん〜深いなあ、潔いというか…。こういう人たちの支えがあって、プロ野球は成り立っているんだね。著者・澤宮優さんのこの本もおススメよ。(^−^)


BOOK〜9人のサムライたち…『プロ野球 いぶし銀のベストナイン
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20090911