- 作者: 谷川浩司
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 新書
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さて、史上最年少の21歳で将棋界の最高峰・名人に輝いた谷川浩司九段。引退後は十七世名人を名乗り、タイトル獲得数は歴代4位。プロ中のプロだね。
一人の人間が大事を成し遂げるためにはいかに集中力が大切であるか、またその集中力をどのようにして身につけ磨いたらよいのか。時間に追われつつも結果を求めらる現代人必読の「谷川流集中力」!ちょっと長くなるがそのエッセンスを紹介しよう。
・将棋を指している間は、相手と会話を交わすことも、顔を見ることもない。視線はせいぜい胸のあたりまでで、神経は盤上に集中している。普段は羽生さんとは、イベントなどで会えば、一言二言の言葉を交わす程度で、世間話をしたりすることはない、しかし将棋を通して、対局中の互いの考えや、局面での心理がわかるのだ。私と羽生さんは、百局の対局を通して、棋士としての相手のことを一番理解している存在になったのではないだろうか。
・将棋界でも、初タイトル症候群という言葉がある。初めてタイトルをとった人は翌年必ず成績が落ちるというもので、例外はほとんどない。
・将棋の強さは、技術の占める面も大きいのだが、技術を百パーセント出すには、その人の内面の奥深さが必要である。刻々と変化する局面の状況を飲み込み、判断し、先を読む内面の広がりが重要である。言い換えれば、将棋の研究以外に何かプラスアルファできないと勝ち続けていけない。
・十代の頃、私はずいぶん長い時間を将棋に費やしてきた。他の人がスポーツや遊びに費やす時間を私は将棋に向けてきた。そのため、運動音痴で、今でも自転車に乗れない。しかし将棋に強くなるという点では、時間もかけたし、楽もしてこなかったので、「天才」と呼ばれるのは本意ではない。それでは、費やした時間や努力がかわいそうというものだ。
・私が初めて将棋と出会ったのは五歳だった。五歳年上の兄と兄弟げんかばかりしているのを父が見かね安物の将棋セットを買ってきたのである。当時使った将棋の駒は今も残っているがそれには小さな歯形がたくさんついている。私が兄に負けた悔しさで駒にかみついていたらしいのだ。勝負事では、負けて悔しいとい気持ちがわからなければ、勝ち抜くことはできない。駒に残された歯形が、私の勝負師としての原点なのだ。
・「自分はダメだ」と思った瞬間に吹き飛ばされているのが、この世界だ。逆に回りが無理だったと思っていても、自分が「できる」と思っている間は可能性がある。
・負けたときに、「負けました」と頭を下げるのはつらいことだ。しかし、将棋の世界が世間に認められ、成り立っているのは、この潔さがあるからだ。トップで戦っている棋士はすべてそうしている。負けることの耐えられず、潔さを失ったならば、将棋界から立ち去り、勝負から遠ざかるべきだ。
・何事であれ、何かを習得しようと思ったら、体に染み込むまで練習やトレーニングに励むことではないだろうか。私自身、中学から高校にかけては、学校、対局場への往復、睡眠時間以外はほとんどすべて将棋のことを考えていた。今、あれほど熱心に研究に没頭することはとてもできないだろう。
・人間は生まれつきの能力の差はほとんどないのだ。とすれば、繰り返し以外に道はない。毎日の繰り返しの結果、手や足が勝手に動いてくれるのである。何事もそのレベルに達するくらいの練習が必要であろう。
・運はどうしたら呼び込めるのか?それはどれだけ将棋に打ち込んでいるかで左右される。将棋に費やす時間が長い人ほど運を呼び込める。積み重ねた努力や、そうした自分を盛り上げてくれる人たちに応えようとする気力が無意識のうちに最良の一手としての勝運を導いてくれるではないか。私は勝負とはそういうものだと信じている。
スゴイ説得力!やっぱり何でも繰り返し反復が大切なんだね。(^^♪
光よりも速く 谷川浩司九段応援ページ
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