「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

BOOK〜『歩を「と金」に変える人材活用術』(羽生善治 二宮清純)

歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論

歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論

ここでも何度か紹介している将棋のハナシ。(^_-)-☆ しばらく指してないけど奥が深いよね〜!
さて、この本はあの天才・羽生善治氏とスポーツジャーナリストの二宮清純氏の対談で、将棋を通して語る組織の人材活用術の本。確かに、将棋の伝統に培われた「と金文化」を今こそビジネス・教育の現場で活かすべきだね。そのエッセンスを紹介しよう。


羽生善治  


・日本の将棋は駒の威力を落として、強さのバラつきをなくした。しかし、そのぶん再利用のルールを作ったんです。相手の駒をとったらそれを自分の持ち駒にできる。その持ち駒を、今度は味方として好きな場所に置ける。こんなルールは世界でも日本だけです、駒の色が全部同じということが、それを象r徴している。中国将棋だと赤と黒だし、韓国将棋は赤と緑。敵味方の区別をはっきりつけます。あと、日本将棋の駒は、対極が終わればひとつの箱にしまわれますよね。チェスの場合だと、白駒と黒駒を別々の箱にしまう。


「と金」って安心なんですよ。相手にとられたとしても、向こうは歩としてしか使えない。表と裏のギャップが大きいだけに、駒の価値としては金の三倍ぐらいある感じがします。そういう意味では「と金」は最強の駒なんです。プロの対局で一番考えるのは「いかにして『と金』をつくるか」ということなんです。自分の歩を「と金」に変えるには、自陣から敵陣に入るまで一歩ずつ前進するしかない。でも、持ち歩の駒であれば好きな場所に打てるので、比較的、簡単に「と金」にすることができる。ずば抜けて有能な人が一人いるかどうかより、そこそこできる人がたくさんいるほうが厚みが出るということなんでしょうね。


・私たちの感覚では、歩って皮膚みたいな感じなんですよ。例えば矢倉囲いを組んでるときに歩が一枚欠けると、皮膚がはがれて傷ができているように感じる、そこで「自陣に歩を打って手入れをする」というんですが、急いで歩を補充する要するに、絆創膏を貼って応急措置をしてるわけです。


・飛車角を四枚もっていたら有利だけど、それは飛車角四枚を守らなきゃいけないということでもある。効率が悪いんですね。会社で重役を増やしたら、それに仕える人も増えちゃったみたいな話で


ひとつひとつの駒のパワーより、連係にほうが大切になる。だから駒の相性というのも重要です。例えば飛車と香車って、すごく相性がいいんですよ。どちらも縦糸に動く駒なので、飛車と香車で隅を狙ったりすると力を発揮する。各と桂馬の関係も同じです。要するに、サポート役が身近にいるかどうかが、力を発揮できるかどうかに大きく関わってくる。


・将棋で面白いのは、対局が終わったあとに、感想戦をやるでしょう。何を考えてこの一手を指したのか、お互いすべて披露しちゃう。さっきまで敵味方で死闘を繰り広げていたのに。あれも日本独特の文化って感じがしますね。まあ、同じ人と次に対局するときは、手を読まれる可能性がありますよね。でも、二人の進歩という視点から見ると、どうなのか。正直に手の内を明かして、ぶつけ合った方が、お互い改良できるメリットが大きい。それが二人の実力を向上させる。理想論といわれてしまえば、理想論なんですけど。



二宮清純


・個人的な意見ですが、将棋と柔道は学校で必須科目にしたほうがいいと思うんですよ。柔道は健全な肉体を育てると同時に、礼節を学ぶでしょう。日本人のアイデンティティが学べるから、国際化の時代には非常に重要です。そして、将棋で判断力や決断力を育てる。今の日本人に欠けているものって、極論ですが、案外、この二つに凝縮されてるんじゃないかとすら思う。小さいうちからそれらを身につけさせることが大切だと思うんですが…。


・会社にも「隅っこの金」はたくさんいますよね。彼らのように「能力を発揮できていない才能」を有効活用する工夫が、強い組織につながっていく。


・フランス人ジャーナリストがサッカーにおける名将とは何かという議題だったんんですが、「いまそこにある食材を使って最高の料理を作れるのが、最高のシェフ。いまいる選手で最高のチームを作れてこそ名監督なんだ」と。同じことは棋士にも当てはまると思います。


・僕は原稿で「一歩多才」って言葉を使ったことがある。「一夫多妻」じゃないですよ(笑)。ひとつの歩を操るだけでも、ものすごくいろんな才能が必要なんじゃないかと。突出した力を持つわけでもない歩が勝負を左右するとしたら、それこそまさに指揮官の能力といえるでしょう。


ん〜!深い!誰か将棋の相手してくれないかな!(^。^) これらの本もオススメ!



BOOK〜天才の世界…『勝ち続ける力』(羽生善治柳瀬尚紀
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20090902

BOOK〜決断とリスクはワンセット!…『決断力』(羽生善治
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20090128

COLUMN〜天才勝負師の心構えとは?…『19歳の挑戦』(羽生善治
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20071204

BOOK〜日本プロ野球の真髄!…『プロ野球の一流たち』(二宮清純
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20080829

BOOK〜これぞプロ!…『プロ野球 人生の選択』(二宮清純
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20071127

BOOK〜超一流の技術と思考…『最強のプロ野球論』(二宮清純
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20071012

COLUMN〜楽天の大健闘を支える“窓際族”の野村信者(二宮清純
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20070712