- 作者: 中西太
- 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 新書
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三原脩監督による、日本シリーズ3連覇、「神様・仏様、稲尾様」の鉄腕・稲尾和久の3連敗から4連勝など、現役で観たかったなあ〜。稲尾を始めとしてこの当時の主力には大下弘・中西太・豊田泰光・仰木彬・高倉照幸らの好選手を擁し「野武士軍団」と呼ばれた。現役で観たかったなあ〜。(^^♪
なぜ最強だったのか?魔術師といわれた三原マジックとは?など著者・中西太氏は語る…。
「どの時代に生きても、またどういう仕事に従事しても、三原は大きな成功を収めただろう。その卓越した戦術眼、斬新な発想力、徹底した合理主義、チーム運営能力…。監督と選手として、監督とコーチとして、また父子として、長い時間を共有した私は、つくづくそう思う。
ここでは、西鉄時代、ミーティングでの三原談話を書きとめたものや、没後に残した膨大なメモを整理して「三原ノート」とした。それに、私なりの解釈を付け加えている。なぜ、西鉄は強かったのか?なぜ美しかったのか?そして、なぜいまも語り継がれるのか?」
【ファイトとは何でもかんでも猪突猛進することではない。血気にはやって投げるな、打つな、走るな】
積極性というのは、ストレート狙いでもし変化球がきたら空振りするような冷静さを伴うべきだ。だからこそあのイチローなどは、狙いと違うボールが来たときに空振りできるかどうかを、自分の調子のバロメーターにする。
また、ハッスルプレーと闘志も別のものだと思った方がいい。どう見てもアウトのタイミングなのに、一塁にヘッドスライディングする。あるいは、グラブのはるか先の打球にダイビングキャッチを試みる。ハッスルプレーに見えても野球にはマイナスの要素しかない。
【獅子はウサギを追うときにも、その全力を挙げてこれを倒すという。平凡を馬鹿にすると油断から大事を生む。楽なプレーでも、全神経を使ったプレーをせよ。】
野球に限らず、すべてのスポーツは「基本」に尽きる。大切なのは基本を積み上げること。算数なら足し算。足し算ができなければ掛け算なんかできるわけない。
野球を始めた小学生が指導されるのは、まず「両手で捕れ」ということだ。これが足し算。ところが、プロ野球選手はときに、打球を片手でキャッチする。そのほうがグラブの届く範囲が広くなる。これはきちんと両手で捕るという足し算をイヤというほど繰り返してきたからだ。何千回、何万回と繰り返し、暗算で答えがわかる。だから片手で捕る。だからといって平凡をおそろかにすると痛い目にあう。
・反復の絶対量が必要だ。いきなりできるようにはならない。キャッチボールなら、まずは補球し、次には捕ってから投げやすいように左胸の前で捕るようになり、さらには補給と同時に右足を踏み込む。それが「本能」になるまでは時間と練習の蓄積が欠かせない。もっとも最初の基本が正しくなければ、ナンボやっても意味がない。いまのプロ野球選手でも、子どものころにしみついたクセのせいで苦労している例はめずらしくない。
・プロ野球選手も、職人である。たとえばワンちゃん(王貞治)の一本足打法が美しかったのは、畳がすり切れるほどの無数の素振りから生まれたからだ。張本(勲)くんの広角打法だって、右手の指の不自由さを克服するための死に物狂いの練習の成果だ。オリックス時代、独特のフォームだったイチローだが、非力な体をどう理にかなった使い方をするか、イヤというほど基本を徹底していた。
イチローの体の硬さは数少ない弱点だが、守備についているイチローを見れば、一球一球しっかりストレッチをしているのがわかるだろう。これは本人が昔から自覚してやっていたことだ。
【勝負は実力5、運3、調子2の割合である】
【第一流選手になる基礎は、若いうちにある。若さのあふれる時期に、本当のベースボールをしっかりと身につけることがもっとも大切である。】
【野球は筋書きのないドラマである】 …などなど。
…深いなあ…。近代野球の基礎は三原脩によって構築されたといっても過言ではないよね。ビジネスにも応用できることがいっぱい。絶版かもしれないけど、この本もオススメよ!(*^_^*)
BOOK〜わが野球人生の実記…『風雲の軌跡』(三原脩)
http://d.hatena.ne.jp/lp6ac4/20071112