- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/05/24
- メディア: 文庫
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さて、もし、自分の家族が、子供が殺されたら、復讐しますか? 遺族の復讐と少年犯罪をテーマにした問題作がこれ。さすが、東野圭吾!
ごく普通のサラリーマン、長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによってレイプされた末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。
長峰は、犯人の一人を殺害し、さらに主犯の少年を追う。愛する娘の仇をうつために。それを食い止める警察との息詰まる展開!そして意外にも世論を巻き込んでいく…。さらに衝撃のラストシーンが…。
正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。タイトルの「さまよう刃」とは実はとても深い意味を現わしている。中でもこの一節が心に響く。
「警察は、法を犯したものたちを捕まえることが仕事である。それによって悪を滅ぼしていける、という建前になっている。だが、こんなことで悪は滅びるのか。捕まえて隔離するというのは、別の見方をすれば、保護することでもあるのだ。一定期間「保護」された罪人たちは、世間の記憶が薄れた頃、再び元の世界に戻っていく。そのうちの多くの者が、もう一度法を犯す。彼らは知っているのではないか。罪を犯したところで、何からも報復されないことを。国家が彼らを守ってくれることを。
自分たちが正義の刃と信じているものは、本当に正しい方向を向いているのだろうかと織部は疑問を持った。向いていたとしても、その刃は本物だろうか?本当に「悪」を断ち切る刃をもっているのだろうか?」
ん…。もし自分が長峰の立場だったら…?重いテーマだけど考えされられる本。おススメだよ。