- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/10/05
- メディア: 文庫
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さて、氏の最新作はいきなり文庫!フツーはハードカバーで出て、しばらく経ってから文庫化されるよね。でもイキナリ文庫よっ!うれしいねえ!これがまためちゃ面白い!東野節炸裂!そのエッセンスを紹介しよう。
「ゲレンデの下に爆弾が埋まっている――「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。
年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス!」
脅迫状はこんな中身だ。
「地球温暖化の影響で世界的に雪不足が起きている中、無事に大量の降雪があり、胸を撫で下ろしていることだろうと思う。
しかし温暖化は確実に進行しており、諸君たちの悩みが根本的に解消されたわけではない。忘れてもらいたくないのは、諸君たちは決して温暖化の被害者ではなく、それを引き起こした元凶だということだ。山から大量の木を奪い、水の流れを変えた。そいうした環境破壊の一つ一つが、昨今の異常気象を生み出しているのだ。したがって毎年のように雪不足に悩まされるのは、諸君たちの自業自得だと言える。そこでそれを補うげく慰謝料を請求する。三日以内に三千万円を用意すること。〜中略〜もしこの指示に従わなかった場合はゲレンデの下に仕掛けたタイマー付きの爆発物のスイッチを入れる」
スキー場にいるすべての人々が人質で、ゲレンデ全体が乗っ取られたというトンデモナイ発想!この事件を警察に知らせればスキー場のイメージダウンは確実。そして間近に迫ったスノーボード大会の会場という貴重な収入面と宣伝効果を失ってしまう。しかし、お客さんの安全を確保しなければならない。そのジレンマの中で物語は…あとは読んでね。
地球環境問題と東野氏の趣味であるスノーボード、そして会社の経営者と従業員の確執、地方経済の疲弊、そしてちょっぴりラブロマンスといつもながら見事な展開とスピード感!やっぱり東野圭吾はスゴイぞ!!!(^<^)