本田宗一郎―その「人の心を買う術」 (プレジデント・クラシックス)
- 作者: 城山三郎
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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『人間としてあんなに楽しくて魅力的な人は、ちょっと、いないんじゃないでしょうか。ああいう人柄だったら、どこの業界でも成功されたでしょう』 (城山三郎)
『本田技研の経営を担ったのは私でした。それは会社の中で知らない人はほとんどいない。それならば私に社長が務まるかといえば、それは無理です。人は欠点があるほうが愛されるが、あれだけ人に好かれる人もめずらしい。社員からも好かれている。』(藤沢武夫)
この本はその魅力の秘密に迫るエピソードが満載だよ。 その代表的なものを紹介しよう。
・創業間もないころのこと。浜松の向上へ外国人のバイヤーが訪れた。当時まだ汲み取り式のトイレにそのバイヤーの入れ歯が落ちてしまった。それを知った本田は飛んでいき、自分の手で便壺を探って入れ歯を取り出し、きれいに洗い、それをまず自分が口の中へ入れてから、さらにもう一度洗って、相手に返すということがあった。その際、本田はおどけたあふりをしながら、相手の心をなごませ、その入ればを返した。そうすることによってたちまちにして自分の親友にしてしまう術を知っていたのだ。
・1970年社長の本田と副社長の藤沢の二人の引き際の際の会話。藤沢が辞任の意向を告げると、本田は、藤沢が辞めるなら、二人一緒だ、おれも辞めると言った。その時のふたりのやりとり。
本田 『まあまあだったな』
藤沢 『そう、まあまあさ』
本田 『楽しかったな』
藤沢 『本当に楽しかった。心からお礼を言います』
本田 『おれも礼を言うよ。良い人生だったな』
・辞めた後、藤沢は六本木の自宅にこもってほとんど外へ出なくなった。これと対極的に本田は、活発に表に出て全国を飛び回って全事業所を全国行脚した。
『ほんとは、現職にいるとき、うちの社員と名のつく人に全部会って、握手をしてやりたかったんだ。社長をやめて、やっとその念願を果たすことができた。日本国内だけで七百ヵ所、回るのに一年半かかったよ。それから海外の駐在員のところを飛行機で回った。半年もかかったもんだ。』
・『うちの社員でありながら、オレの顔を見たことのないのが大勢いるんだ。ことに地方の出張所や。SFというサービス機関にいるのはほとんど現地採用だからね。みんな胸に名前をつけてもらったよ。『おう、〇〇くん、ありがとう』といって、一人ひとり手を握ったんだ。オレは涙が出た。むこうの若い人たちも泣いたよ。けど、オレは士気を鼓舞するなんて気じゃない。自分が嬉しいからやるんだ。おれは社長をやめてやっと人間らしいものにいきあったよ。』
ハア〜!\(◎o◎)/! どう?なかなか出来ないことだよね。ウチ(SA)でいう正に『愛されキャラ』だね。なんかウチの代表の桑原正守と専務の岡根芳樹のような関係かな。こんな関係って夫婦のつながりよりも強いよね。