「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「星新一 1001話をつくった人」(最相葉月)

 

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小野塚テルからのメッセージ
 

 
 
 
さて今日の一冊!
 
中学の頃に夢中になって読んだ星新一。はじめて読んだのは忘れもしない『きまぐれロボット』クラス中で回し読みしたなー!♪
 
 
 
「ボッコちゃん」「マイ国家」など数多のショートショートを生み出し、今なお愛される星新一森鴎外の血縁にあたり、大企業の御曹司として生まれた少年はいかなる人生を歩んだのか。星製薬社長となった空白の六年間と封印された負の遺産、昭和の借金王と呼ばれた父との関係、作家の片鱗をみせた青年時代、後の盟友たちとの出会い。「セキストラ」でのデビュー後、ドライでウィットに富んだショートショートは多くの読者を獲得する。膨れ上がる人気の一方で、新しすぎる個性は文壇との間に確執を生んでいた。そして前人未到の作品数を生み出す中、星新一自身にも、マンネリ化への恐怖が襲いかかることに。本人と親交のあった関係者134人への取材と、膨大な遺品からたどる、明かされることのなかった小説家の生涯」そのエッセンスを紹介しよう。
 

・机の下には、未開封の書籍小包がいくつも積み重ねてあった。

 

「主人がいなくなってから、しばらくはおかしかったですね。外に出かけると、知らない人ばかりで。昔はそんなこと感じたことなんかなくて、ひとりで出かけるのも全然平気だったんですけど、だれも知らなくて、さびしくて、さびしくて、家に返るとほっとする。外に出かけるのがこわいので、ずっと家にいました。でも、ようやく今は……、やはり時間なんですね。時間しかないんですね」新一が世を去ってから。七年が過ぎようとしていた。
 
・「死んだあとのことなんかどうでもいいよって何もいってくれなかったんです。困ることは本当にたくさんあるんですよ。いつだったか入院したときに、あの世から通信できる手段があったら教えてよっていったら、うん、なんていってくれてたんですけどね。なんにもないです。夢さえみない」
 
親一という名前は、星製薬の標語として揚げていた「親切第一」からつけられた。2年後に生まれた弟の協一の名前も「協力第一」からとったと、星一がのちに良精に説明している。
 
農芸化学の芸ってなんぞや」「芸術的要素が入ってるんだ。だから芸だ」
 
「新」は、新しい。「一」は、はじめ。心機一転、新しく始まる、という意味を込めた。
 
・「円盤研究会に集まってくる連中は、珍しい話、不思議な話、奇妙きてれつな話、プラス最新の科学的話題で盛り上がる。これがそのまま宇宙塵の月例会や編集委員会やその後のだべり会に持ち越されていくんですけど、そういうのを聞いていても、星さんは実に見事に言葉をはさむんです。茶々を入れる、というのではないんですよ。なんというか実に冴えていて、うまいんだなあこれが。そのときの話題を自分の知識に結びつけてわあっとみんなの度肝を抜く。あの感覚は誰にも真似できませんね。それが全部、ぼくらの好きなSFと結びつく話題ですから、やあ、いい仲間でできたと嬉しかった」
 
具体的にどのような言葉を発したのかを訪ねると、記憶に残っていない親一の発言はおもしろかったと語る人は大勢いたが、みな一様によく覚えていないのである。頭の回転が速いというだけではない。会話の流れから想定されるものとは違う角度から突拍子もない言葉がぽんぽん飛び出す。なんとも絶妙でそのときはみんな大爆笑したり、呆気にとられたりするのだが、記憶にほとんど留まらない突風のように過ぎ去っていく。乗らなきゃ感じがわからないジェットコースターのようなものか。ありふれたことわざやいい回し、オウム返しを嫌う親一ではあったら、ここにきて水を得た魚のように何かがあふれ出していた。
 
・親一の日記に「今日あたり死のうかな」の一文を見た今となっては、小説を書くことが親一のいのちを救ったのではないかとさえ思えてくる。
 
・「この時はじめて、私は作家になろうと思った。それ以外に道なないのだ。会社をつぶした男を、まともな会社がやとってくれるわけがない。あこがれたあげく、作家になったのではない。ほかの人とちがう点である。やむをえずなったのだ。背水の陣ではあったが
 
「宗教は信じるものだけど、科学は信じるものではない。理解するものだ」
 
・新一は、大きな手応えとともに万年筆を擱(お)いた。
 
(『ボッコちゃん』を)書き終わった時、内心で「これだ」と叫んだ。自己を発見したような気分であった。大げさな形容をすれば。能力を神からさずかったという感じである。
 
『ボッコちゃん』には、私の持つすべてが、少しずつ含まれているようだ。気まぐれ、残酷、ナンセンスがかったユーモア、ちょっと詩的まがい、なげやりなところ、風刺、寓話的なところなどの点である。ほんとに神様が耳元で囁いてくれたと、よく書けたという感じがしますね。
 
・「三十枚で書ける小説を圧縮して六枚や七枚にする。普通、短い小説はそうやって書くでしょう。でも、それだとどうしても圧縮感が出てしまう、と星さんはいうんです。星さんは逆。三枚から四枚ぐらいのものを七枚から十枚ぐらいに伸ばす。これは相当むずかしいことです。ほかの要素をいろいろといれなければならないですから。だから、いろんなところにアンテナを広げていたはずです。家にはしょっちゅう行きましたので、電話や手元の電気スタンドに創作メモがたくさん貼り付けてあるのをよく見ました」小さなメモには脈絡のない言葉が記されている。(「宝石」大坪直行)
 
・「星くんはめったに自分をさらけ出さない人です。でも調子づくとはしゃぐんです。ぺらぺらしゃべりだす。そうするとアイデアが生まれるみたいでした。人と同じことをしたり、右に同じということは絶対にやらない人間でした。言葉で人を驚かせて、相手が呆気にとられたりのを楽しんでいた」
 
司馬遼太郎「短篇小説を書くというのは、空気を絞って水を滴らすほどのエネルギーがいる」「短篇を書いてみようと机に坐ると、二時間もしたら目が落ち窪む」
 
田辺聖子「まだ短篇小説書いてはるのか。あんなもんは四十で止めるもんやで」
 
新井素子「私は作家になってからも、人に感動を与えたいとか、泣かせたいとは思わない。それよりも、痛み止めが効くまでの時間、痛みを忘れさせることのできるものを書きたい作家にとってこれほど嬉しいことはない。この点は、絶対に星さんにはかなわない。生涯の夢です」
 
・アイデアとは異質なものを結びつけるところから発生する。大変なのはシチュエーション。それができれば、ストーリーはなんとかなる。
 
・(妻・香代子)「同じ材料でも、味つけ次第で甘くもなれば、辛くもなるし、酸っぱくもなる。やはり星の小説はお料理に似ていますね。魚をすりつぶして、かまぼこや竹輪にしてしまうと、もとが何であったかわからなくなるでしょう。それと同じで、なにを材料に使っていたのか、私にもわかりませんでした
 
誰とも似ていないタモリの特異な芸風は、奇矯な方言を発する新一の“紙一重な部分とどこか通じるものがあったかもしれない。
 
・散歩に読書、テレビ、夕方からは有楽町や銀座で映画鑑。人生でこれほど映画を観たのは何十年ぶりか。原稿を書かないことがこれほど体にいいとは思わなかった。
 
宮沢賢治とは農芸化学を専攻したということ以外あとは共通点なし」と思ったが、思わず自分自身の作家人生を重ね合わさずにはいられなかったのだろう。1001編を書き上げたことで、どうやら星新一は神様にされてしまったのではないかとぼやいてみせた。
 
ショートショート1001編達成に対しては、結果的に、なんら文学的な評価を得られなかった。記録としては残ったが、それだけだった。もはや賞を与えることのほうが失礼にあたると考えたのか、生前の新一に対しては、日本SF作家クラブさえも賞を授与しなかった
 
「この世に子供がいる限り、ぼくの本は読まれ続ける」「私の本は文学じゃない。七五三の千歳飴」
 
星製薬とともに「親一」は一度、死んだ。生まれ変わった「新一」は、自分に新たな生命を吹き込んでくれた「新一」のために、奉仕し続けたたとえ「星親一」が死んでも永遠に行き続ける「星新一」をつくり上げるために父が命じた「親切第一」「親切」を貫こうとするかのように。新一は、1001編でほとんどのエネルギーを使い果たし、燃え尽きてしまったのだ。
 
人を信用しない人だった。編集者ばかりではない。秘書はいない。税理士もいない。育児に追われて家政婦を雇いたいと相談したときも、他人を家にあげることを嫌い強く反対された。女性に対してはとくに厳しかった。女だからといって甘えるなよとよくいった。泣かせた女性編集者もいたはずだ。親戚も遠い関係になると警戒した。信じられるのは自分ひとりだった。あんなに人が信じられなくて、どれほど苦しかっただろう
 
 
『セキストラ』『宇宙のあいさつ』『気まぐれ指数』『ブランコのむこうで『だれも知らない国で』改題』『人民は弱し官吏は強し』『鍵』『鏡のなかの犬』『妖精配給会社』『おーい でてこーい』『虚航船団』(筒井康隆など。
 
 
「空飛ぶ円盤研究会」っていまでもあるのかな!?三島由紀夫もメンバーだったなんて意外だよね〜!久しぶりに再読してみよ。超オススメです。(・∀・)p