「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「白球の約束 高校野球監督になったプロ野球選手たち」(本郷陽一)

 

人生は一度しかない天賦の才能を認められ、世間が羨ましがる契約金を手にして、カクテル光線が燦然と輝く部隊で働いてきたプロ野球選手にとっては、その栄光の過去が、時には第二の人生に踏み出すことへの足枷(かせ)になるプロ野球の世界では、毎年ドラフトで70人前後の新人が入団してきて、同じ数だけ、社会という野に放り出されている。引退の平均年俸は29歳。

 

84年以来ざっと、2000人以上のプロ野球失業者が出ているのに、学生野球資格者名簿は、29人、その割合はあまりに低い。国立大学出身の初のドラフト1位で異色と呼ばれた杉本友でさえ、筑波大で教職免許は取れていなかった。ほぼ無収の状況で2年から4年も大学に通い直し、就職先の高校を探す。そこで、さらに2年の我慢。高校野球監督への道は、イバラどころではない

 

・本書は、そういう第二の人生に断固たる決意と意志を持って真摯に挑戦した、いや、いまなお挑戦し続けている6人の悲喜こもごもの人間の物語である。彼らは、自分が自分らしくあるがため、ずっと愛する野球の側にいることのできる人生を選んだのだ。

 

・(大越)「世界の王さんが、僕らに気を遣って目線を合わせてくれた。僕も元プロだけど、目線を高校生に落として騒いだりするのは王さんから学んだものです」ダイエーホークス時代の王貞治は、居酒屋で決起集会を開き線hすと一緒に酒を飲んでバカを言った)

 

小久保裕紀は、オレと同級生だ。小久保は、今クリーンアップを打っているのにオレはクビになった。彼の練習は凄い。だから超一流。オレは妥協したからクビになった。そこが違う」。小久保は、大越が「(自分は)野手でなくてよかった」と思うほど、猛烈なトレーニングで自分を追い込んでいた。

 

・(ディレードスチールをして)野球はミスをするスポーツです。でも賭けの貯金を作っておけば、マイナスにはなりません。そのためにも、たまにはアクロバットをしてプラスにしていかなければダメでした。この世界で生き残るために、評価の貯金通帳をユニホームの裏に忍ばせていた。

 

僕は結局、アマチュア向きなんです。トーナメント大会があって、そこに向かって体力を作り、練習をして戦術を組み立てることはできた。でもプロは1年間でしょう。その体力がなかった。持たなかった。体力が必要なはず必要なはずなのに、コーチの話も聞かずにトレーニングを疎かにしていたんです。甲子園準優勝投手の驕りがあったんですね」

 

・その秋、大越は、ずっと笑っていようと決めた。それが3倍勉強した」結論だった

 

・「野球をやっている間は、まったく勉強していません高校時代は授業中は寝ていたし早稲田も中退しているし授業にもまともに行っていない。そんな人間が社会に出ても役に立たない。もう一度、大学に入り直してしっかりと勉強しなさいと言われていると思ったんです。幸いにして貯えは少しあったし、自分に投資しようと思ったんです」

 

「僕が監督してセンバツに出場することで勇気を与えるとか、そんな軽々しい言葉は吐けません。あのふるさとの姿を見たらとても何も言えないのです」東日本大震災のあとで)

 

・(野球が、本当に好きなんですね)「そうでもないですよ、僕は人が好きなんだと思うんです。僕が、野球を超好きになってしまうと、子供たちが可哀想だなあと思っていてね。監督は、覚悟していた以上に大変な仕事です。選手をやっていたほうが楽です。でも、それを覚悟しないと務まらないと思う。今、自分に監督が務まっているかといえば務まっていない。部長、コーチに助けてもらっているからできているだけ。一人だと、潰れています。彼らがいるから僕がある

 

……うーん……深いなあ……。野球に生きた野球人の告白。スゴイ。プロ・アマの垣根がなくなるといいよね。野球ファン必読っ!超オススメです。です。