「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「新・野球を学問する」(桑田真澄・平田竹男)



新・野球を学問する (新潮文庫)


甲子園のヒーローであり、かつてのジャイアンツの知性派の大エース桑田真澄。(・∀・)


早稲田大学大学院での修士論文のタイトルは、「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に対する研究」


この本は、その指導教授との対話を通じて、科学的根拠に基づく野球指導の重要性を説く一方、自身のMLB経験とイチロー、松井、松坂らの豊富な人脈から得た知見から、日本野球が世界で勝ち残るための秘策を明かす。また、スポーツビジネスの最新情勢にも言及、球界復権への決意を示す。そのエッセンスを紹介しよう。



平田 桑田さんは、今回の修理論文のために、プロ野球選手たちにアンケート調査をしましたね。現役選手270人へのアンケート調査というのは、おそらく史上初めての成果といっていいでしょう。現役のプロ野球選手たちが、中学や高校などでどのような野球生活を送ってきて、そして何を考えているのかわかるという、ものすごく貴重な調査になりました。


桑田 まずは中学や高校での練習時間ですね。中学の平日の練習時間の平均は2.9時間、高校では4.5時間でした。休日はもっとすごいです。中学の平均が5.8時間、高校は7.3時間です、しかも、高校で9時間以上練習していたという人が、なんと70人もいました。これで文武両道は無理ですよね。だいたい、動いたら、そのぶん休息もしないといけないんですが、これでは休みもとれないですよね。


桑田 中学時代の指導者についてだと、まず「指導者の指示通りに練習をしていたと思う」に対しては「はい」が70%近くいます。それに対して「自分が指導者になった時の同じ内容の指導をしたいと思う」は、「いいえ」が50%以上います


平田 つまり、自分は監督の指示通りに練習したけど、自分が指導者になった時には、それと同じ練習はさせない、ということですね。


桑田 「指導者から体罰を受けたことがある」、これは中学で「はい」が45%。高校は46%。「先輩から体罰を受けたことがある」だと、中学36%、高校51%。


平田 やはり多いね。


桑田 ただ体罰に対する考え方について、以外な結果に結果になりました。「必要である」と「時には必要である」を合わせると、中学でも高校でも83%の人が、体罰を容認しています。まあ、実際に必要な面はあるかもしれませんが。


桑田 夏の甲子園は。40度を超えるんです。準々決勝、準決勝、決勝と、あそこで3日間連続で投げることの大変さは、おそらくやった人にしかわからないでしょうね。僕は運良く、肩、肘を壊さずにすみました。でも、あそこで壊してしまった球児がどれだけいるか。本当だったらプロ野球選手になれたはずなのに、という選手がたくさん潰されています。たとえば10代だったら何球以上投げないほうがいいなど、いまではすでに科学的データとして調査結果が出ているんです。高校も大学も日程の問題は考え直すべきです。


平田 ぼくが桑田さんの話で心に残っているのは、「桑田さんは何を心がけていつもプレーしていたのですか?」という学生の質問に「ピッチャーはいくらうまくても、がんばっても試合に勝てない。誰かが打って点を取ってくれないかぎり勝てない。だから、いつもチームメイトに感謝して投げています。声をかけ、話を聞き、心配りを忘れないようにしています、そうすると、野手も、こいつのために打ってやろう、捕ってやろうと思ってプレーしてくれる。その気持ちがあるだけで。試合は全然違うものになるんです」と。これには感激しました。


桑田 スポーツ選手にとって「試練」はとてもいい言葉だと思っています。練習の「練」に、試合の「試」。このふたつで「試練」ですから。鍛錬して、練習して、試合で自分がどれだけできるかを試す。試練=挑戦です。


早く、桑田に、指導者になってほしいなあ。野球ファン必読。オススメです。(・∀・)




新・野球を学問する (新潮文庫)