「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「石川くん」(枡野浩一/朝倉世界一)

 
いいなあ。この本。表紙のいたずら書き、懐かしいなあ!♪教科書によく描いたよね〜!(笑)

啄木のほんとの姿がここに! 石川啄木って、教科書に載ってるエライ人というイメージが強いけれど、ほんとは金と女に独自の美意識を持った、とっても人間味あふれる駄目男でした。そんな石川くんの短歌を「現代の言葉」で歌いなおし、石川くんの駄目っぷりにツッコミをいれ、愛と憎しみをこめて長い長い手紙(電子メール)を書きました。朝倉世界一さんの手によるキュート&クールなイラストを見たら、もうあなたは石川くんのトリコ!!!笑えて、泣ける、おとなのための絵本」そのエッセンスを紹介しよう。


石川くんは、今はいない人です。石川くんは大正元年明治四十五年、1912年)に亡くなりました。石川くんの歌は、わかりやすい言葉でつくられているおから、なんとなく読めば、なんとなく意味がわかります。とはいえ、やっぱり百年近く前に青春時代を過ごした人だけあって、ちょっと古めかしい言葉がどうしても混じってますね。つくられた当時、すごく実験的な作風として人々を驚かせたようです。短歌なのに当時の普通の言葉」が使われていたり、詩みたいに「三行書き」になっていたりするんですから。もし石川くんが今の時代を生きていたら、どんな言葉で歌をつくるんだろう?「今の言葉の歌」に変身させてみたくなりました。
 
打ち明けて話して 何か損をしたような気持ちでいる 帰りぎわ
(打明けて語りて 何か損をせしごとく思ひて 友とわかれぬ)
 
意味もなく 息きれるまで駆け出してみたくなったよ 原っぱとかを
(何がなしに 息きれるまで駆け出してみたくなりたり 草原などを)
 
がんばっているんだけどな いつまでもこんな調子だ じっと手を見る
(はたらけど はたらけど猶わが生活樂にならざり ぢっと手を見る)
 
ごくたまに 心が平らになる時は 時報の音ですらおもしろい
(まれにある この平なる心には 時計の鳴るもおもしろく聴く)
 
一度でも俺に頭を下げさせた やつら全員 死にますように
(一度でも我に頭を下げさせし 人みな死ねと いのりてしこと)
 
冗談でママをおんぶし あまりにも軽くてショック 三歩でやめた
(たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず)
 
ふるあとのなまりはいいな 人ごみにわざわざ行って 耳をすました
(ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく)
 
ふるさとの山に向かって 言うことは何ひとつない ありがたいなあ
(ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな)
 
ほかほかのほっぺをふわふわの雪に うずめるみたいな 恋がしたいな
(やはらかに積れる雪に 熟てる頬を埋むるごとき 戀してみたし)
 
全人類が 俺を愛して泣くような 長い手紙を書きたい夜だ
(誰が見ても われをなつかしくなるごとき 長き手紙を書きたる夕(ゆうべ))
 
この俺のやるべき仕事 よい仕事 それをやりとげ死にたいものだ
(こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ)

 

いいじゃん!石川啄木っ!!!現代語訳っていいねえ。また歌を書きたくなったな。オススメです。(・∀・)