「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「小説家という職業」(森博嗣)

 

最近、ハマっている森博嗣さんの本。全作品読破を狙っています!国立大学の助手のかたわら小説家として二足のわらじをはいて小説家としてデビューして、あっという間に売れっ子になり、セミリタイア。現在は、一日一時間しか仕事をしないというジャパニーズドリームを実現している!スゴイのは、小説が好きでもなんでもなく、金を稼ぐために小説を書いたというシンプルでドライなモチベーション!カッコいい!!!

 

小説家になるためにはどうすれば良いのか?小説家としてデビューするだけでなく、作品を書き続けていくためには、何が必要なのだろうか?プロの作家になるための心得とは? デビュー以来、人気作家として活躍している著者が、小説を書くということ、さらには創作をビジネスとして成立させることについて、自らの体験を踏まえつつ、わかりやすく論じる」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・大事なことは「こうすれば」という具体的なノウハウの数々ではなく、ただ自分はこれを仕事にする」という「姿勢」である。その一点さえ揺るがなければなんとかなる、と僕は思っている。
 
・40歳になる少し前に突然、小説を書いた。練習したこともないし、趣味で書いたこともなかったけれど、執筆してみた。文字を書くことも苦手なので、もちろんワープロまさに「利器」である。最初から、金になることをしようと考えて小説を書いた。つまりバイトである。趣味の関係で自分がやりたいことの実現には資金が必要だった。なんとか夜にできるバイトはないか、と考えて小説の執筆を思いついたのだ。3日後くらいに書き始め、さらに1週間後には書き終わっていた。毎日3時間くらい書いただろうか。トータル20時間。その半年後に小説家としてデビューしていた。最初の1年で3冊の本が出版され、その年の印税は、当時の本業(国立大学勤務)の給料の倍になった。翌年には4倍になり、3年後には8倍、4年後には16倍と、まさに倍々で増えた
 
・僕は特に必死で努力したわけではない。この10年間に毎年100万部以上コンスタントに出版され、使い切れないほどの印税が銀行に振り込まれた。僕の家族の生活はすっかり変わってしまったけれど、しかし僕自身に大して変化はない。趣味方面で、少し資金的にな自由を得ただけだ。もちろん、これはとても嬉しい。
 
なぜ、突然小説を書き始めたのか?
 
①研究の最前線から一歩後退せざるをえない年齢だった。
②大学の雑用が増え、研究がさせてもらえない。その不満があった。
③快適な住まいを手に入れて、書斎でデスクに向かう時間が持てるようになった。
④子どもたちがあと10年もしたら社会人になる、という未来がほぼ見えてきた。
⑤自分の趣味のプロジェクトをそろそろ展開させたいが、場所も資金もなかった。
 
なにかを作る、生み出すことはストレス解消になる本を読んだり、勉強はインプットする行為で食事と同じで満腹になる。だから、消化をして、運動をして、エネルギィを使わなければならない。
 
不思議なことに、自分には「書けない」と思ったことはなかった。絵も描くし、作曲もしたり、なんでもやろうとしてできなかったこはない。日頃から嫌でも文章を沢山書いているわけだから「できない」という発想はなかった。まあ、やればできるだろう、くらいに考えていた。小説の書き方なんて知らないし、どうしたら小説家になれるのか、まったく情報を持ってなかった。
 
・一番のきっかけは、当時小学5年生だった娘が読んでいた本が、あるベストセラ作家のミステリィ小説。「面白い」というので、それを借りて読んだが特別に面白くなかった。これがミステリィというものだ」という小説を娘に読ませてやることを目指して、僕は小説を書く決意をした
 
・僕は処女作を書いている途中で、この物語の世界がどんどん広がるのを感じた。登場人物に深入りし、過去へ未来へも、世界が「自然に」広がっていく。執筆中に、少なくともシリーズとして何作か書こうと決めた。頭の中で展開した世界をアウトプットしたい、という欲求からだ。「ホームランを打つよりも、ヒットを多数打つ方が楽だ」ということ。面白さを「小出し」にしようと、考えた。
 
『すべてがFになる』は初版が、1万8000部で3年後には文庫にもなり、累計57万部。80円×57万=4560万円をこの1作が稼いだ計算になる。小説は、たった一人で、非常に短時間で生産でき、人件費もスペースもいらない。投資も不要。この効率の高さは、ちょっとほかに例がない。上手くいけば、の話であるが…。
 
作家で有り続けることが難しい3つの理由
 
①最初の作品を超えられない
②読者の慣れ
③デビュー後のビジョンがない
 
・ネットの活用に関して、僕が小説の執筆に取り入れたものは多数ある。ミステリィにおいて「結論をしっかりと書かない」結末や、作品の中にちりばめられた答えのない謎である。
 
人間を観察することが、小説を書くための基本的な下準備である。常日頃から、できるだけ多くの人を観察することを心掛ける。現実社会で見ている人たちをみて「リアル」や「ナチュラル」を取り入れること。これらが創作に不可欠な素材である。最近はネットで沢山の人間を観察することができる。多くの「ありがちな感情」や「ありがちな思考」に出合える。
 
ネットで自分に対する不特定多数の悪口が読めるということは、かつてはなかったことであり、これはめちゃくちゃ面白いこの面白さは、創作の原動力になるとさえ僕は感じる。
 
・もし、あなたが小説家を目指して頑張っているのならば、締切を守る誠実な作家になってほしい。まずは自分で立てた予定を守ること。その習慣を守ること。
 
小説は、音楽のようにネット配信になる。近い将来のことだろう。極端な話、出版社も印刷会社も取次も書店も必要でなくなる。古書店も図書館も成り立たない時代がすぐに来る。安泰なのは作家と読者だけだ。
 
・文章が書ける人は、昔に比べて確実に増えている。かつては、文章が書けない人間はわりと多かった。今は、沢山の人が大学を出ている。小論文の受験勉強で鍛えられている。でも、楽器の演奏と同じで「書ける」だけでは仕事にならない書き手が増えても、読み手は増えない。楽器を演奏する人。音楽で仕事をしたい人が爆発的に増えた。けれど、残念ながら聴き手の数は増えていない。
 
売れている本ほど、読者の採点が低くなる傾向があることに気づいた。理屈は簡単。採点が低いからよく売れるのではなく、よく売れるほど、その内面に合わない人経も本が行き渡るから、低い評価を受ける結果になる。逆に、もの凄くマイナで部数の少ない本は、コアなファンだけが買うので評価が高い。
 
・最大のアピールポイントは、その世界をたった一人の人間が作り出した」という「凄さ」だろう。読み手の心に響くのは最終的にはこれである。小説ほど、受け手に個人の「才能」と「頭脳」を感じさせるものは、おそらくないだろう。人は、結局は「人に感動する」ものである。
 
・とにかく文章を書き始めてみよう。事前に考えておかなければ書けないようでは、この仕事は続かないだろう。創作というのは、なにもないところから「捏造」するのである。いきなり書く。書きながら。頭に思い浮かぶものを文章に落とす
 
会話を活き活きと書くためには、そこに登場している人物たちそれぞれになりきること、これに尽きる。どんな履歴を持った人間のか、今はどんな状況なのか、相手をどう思っているのか、何を考えながら話しているのか、といったことを思い描くことは基本である。
 
小説家への道は、ただただ書くこと、それ以外にない。それが楽しいとか、苦しいとかそんな問題ではない。なんでもありだし、どうやっても良いから、とにかく書く。書くことで何が得られるのか、など二の次だ。書いた文章は、少しずつ集まって、きっとなにものかを築くだろう。幸運ならば。自分以外の人に、自分の一部が伝わるかもしれない。そして、それらはいつまでも残る。書いた人間よりも未来まで残る可能性を持っている。それだけで、充分ではないか。
 
結局は、論文も技術書も小説も、エッセィもすべて、書き終わったときに感じることは、「説明不足」と「誤解の危険性」を伴う不満であり、それとバランスするのは、スポーツの汗と同じく、達成感という細やかな満足のみ。最も辛いのは、書いている最中に自分がどんどん変化するため、書き終わったときには、書いたことが現在の自分の感覚や意見と既にずれていることだ。
 
・いったいどうして書くのだろうか?「アウトプット」することの苦い快感が、まさに生きていることと同値である、というほかは説明のしようがない。また逆に、生きている心地がしない、生からの逃避とも解釈できる。書いている間、息を止めていて、書き終わったら生き返る、みたいな感じか。「生還」を味わいたいという無邪気さではないだろうか。
 
書くことは格好の悪いことだと僕は考えている。格好悪いけれど、書く。できれば書かない方が格好が良いのに、気がつくと書いている。痒いところを掻くみたいな、そんな半農かもしれない。
 
小説とは何だろう。たぶん。人間の思考、生き方、感情のポインタなのではないか、と思う。つまり「ほら、そこにあるよ」と指すものだ。視線の先に素晴らしいものがあれば素敵だ。なければ、もう誰も指の先も見たくなくなるかもしれない。それよりは、指をさされた方向へ素直に視線を向ける人間の方が幸せではないだろうか。違うかな。あまり自信はない
 
ということは、ワタシも数年後「酒場のギター弾きという職業」という本を書いているかもしれないなー!これからのお金の稼ぎ方の参考書になるね。超オススメです!(・∀・)