「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「「やりがいのある仕事」という幻想」(森博嗣)

 
 
 
 
仕事について書いてくれという依頼が来るとは考えていなかった。僕は、ばりばりとビジネス界で活躍した人間ではないろくに就職活動をした経験もない。また、仕事は、大学の教官と作家の僅かに二つしか経験がない。学生のときのバイトを入れても十くらい。「会社勤め」をしたことがない。そんな「普通ではない」僕にどうして、依頼が来たのか。
 
僕は、最近はほとんど仕事をしていない大学は47歳で辞めた。作家の方は、一日一時間だけしか仕事をしない。あとは、ほとんど遊んでいる毎日が楽しいから、そのとおり「楽しい」と書いたりする。
 
・僕は、働くという行為が、そんなに「偉い」ことだとは考えてない「働きたくなかったら、べつに働かなくてもいいんじゃないか」というのが僕の基本的な立場である。
 
若者の多くが「仕事」というもので悩んでしまうのは、それまで仕事をしたことがないからにほかならない。子供には、仕事のことをあまり教えない文化がある。たぶん子供には「大人の世界のいやらしさ」を見せないようにしているのだろう。
 
・この本では、そんな幻想を少しでも消してあげたい自分の思ったとおりの就職が出来なくても、全然悲観するようなことではない、ということを書きたいと思う。
 
・僕は、二人の子供を育てた。小さいときには厳しく育てたつもりだ。小学校になったとき、勉強をすることの意味を教えた。その後は、通信簿も見ず、まったくノータッチだったが、二人とも第一志望の大学に合格し、その後社会人になった。成人したあとは、もうなにも言わない。相談を受ければ「好きにしなさい」と答えることにしている。そして、何の仕事をしているのかもよく知らない。どんな生活をしていようと、生きているならば、自分の子供であるから嬉しい。仕事というものは、今どんな服を着ているのか、というのと同じくらい、人間の本質ではない
 
大人の何が楽かといって、仕事は辞められるが、子供は学校は辞められない。また、事実上、子供の自由で学校は選べない。大人は仕事を選べる。これだけを取っても、子供の方が過酷である。
 
「今は辛いかもしれないが」なんて言うけれど、仕事というのは基本的にずっと辛いものである。
 
人生の生きがいを仕事の中に見つける必要はどこにもない。もちろん、仕事に見つけることもできるかもしれない。それと同じように、仕事以外にも見つけられる。好きなことをどこかで見つければ良い。どうして仕事の中でそれを探そうとするのか、自問してみよう。
 
僕は就職して以来ずっと、ひとりぼっちで仕事をしてきた。研究というものは、自分の頭の中だけで行うものといっても良い。また、作家になっても、やはり自分だけで作業をすることに変わりはない。これを「孤独」だと感じたことはないし、また、そもそも仕事に集中しているときというのは、周りに人がいることなど無関係で、自分の考え、目の前にあるもの、自分の作業に没頭しているのではないだろうか。だから、孤独にならなければ仕事はできないといっても良いかもしれない。
 
 
「仕事ってそんなに大事なの?」って今、読むとよくわかる。ワタシも歳を重ねた証拠だなあ。オススメです。(・∀・)