「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「交響曲「第九」 歓びよ未来へ!板東俘虜収容所 奇跡の物語」(くすのきしげのり・古山拓)

 
年末にまたまた素晴らしい絵本に出会いました!♪ ワタシの大好きな、くすのきしげのりさんと、今年6月にご縁をいただいて個展に初めて伺った山拓さんの本だったら、これは読まずにいられないでしょう!♪ (・∀・)
 
冒頭、どこかで聞いたことがあると思ったら、2006年の映画のバルトの楽園(がくえん)』で映画化されていたんだあ!あの感動がよみがえってきた!♪
 
「1918年6月1日、徳島県鳴門市の板東俘虜収容所-------。ドイツ兵俘虜(捕虜)たちによって、ベートーベン交響曲「第九」が、アジアで初めて全曲演奏されました。初演の背景には、俘虜に対する人道的な配慮を行った松江豊寿所長の存在がありました。彼はドイツ兵俘虜に対して、「彼らも祖国のために戦ったのだから」と、俘虜の住環境の改善などについて上官に粘り強く交渉し、最後までその姿勢、信念を貫いたのです。
日本初の「第九」演奏会から百年にあたる年の記念すべき発刊!」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
「信頼、友情、寛容、感謝、自由、責任……そして、しっかりと生きること。そう、人生のおいて大切なことは、すべて『バンドー』にあった」。
 
1917年4月9日。第一次世界大戦のとき、中国の青島で、日本と戦って敗れたドイツの兵士たちが、俘虜(捕虜)として、徳島県にある「板東俘虜収容所」に送られてきました。
 
・マツエという所長。「私は、祖国のために勇敢に戦った君たちを歓迎する」確かに彼は、そう言ったのです。私は自分の耳を疑いました。
 
・収容所の中には、戦争に行くまでの仕事や特技を生かして、パン屋、肉屋、家具屋、写真屋、くつ屋、菓子店やレストランといった、たくさんの店ができました。バンドーでは、私たちは、自分たちで工夫をし、自分たちの手で暮らしをよくすることができたのです。そんな私たちの生活を、さらに、いきいきとしたものは、音楽でした。
 
収容所には、いくつか楽団があり、「徳島オーケストラ」「エンゲル・オーケストラ」は特に、競い合うように練習をし、演奏会を聞きました。俘虜収容所ではありましたが、ここは、まるでドイツの町のようでした。
 
「俘虜に対しては、もっと厳しくしたほうがよいのではないか」という考えは収容所の中にも、バンドーの町にもあったにちがいありません。しかし松江所長は、同じ人間として俘虜を見下すことなく、同じ人間として、あたたかく接し、そして信頼してくれたのです。にくしみは、にくしみを生みます。しかし愛は愛を生むのです。そして、ここバンドーでは、信頼は、信頼を生みました。
 
こんな収容所が、世界のどこにあるだろうか?松江のような所長がどこにいるだろうか?俘虜であろうとも、ここでの私たちの生活には生きるよろこびがある。やってみたいか『第九』を。歌おうじゃないか『歓びの歌』を!
 
この曲の詩にこめられた「寛容であること」「すべての人が兄弟となること」「平和への願い」そして「生きていることのよろこび」そう、これらはすべて、重く暗い気持ちを抱えていた私たちがバンドーでの生活の中に見出したものであったのです。だからこそ、演奏したかったのです。だからこそ、私たちは歌いたかったのです。
 
……感動だなあ……100年以上前に、こんなことあったなんて奇跡だね。『第九』を聴くたびに涙が出るなあ。年末だからこそ、読みたい本。親子で読んでね。超オススメです。(・∀・)