「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「書き出しは誘惑する 小説の楽しみ」(中村邦生)

最初の「つかみ」って大事だよね。自己紹介でもセミナーでもプレゼンでも、そこで80%くらいは決まるような気がするなあ。(・∀・)

 

さてこの本。一発目の書き出しの重要性を書いた本だよ。

「読者に作品の手ごたえをどう伝えるか、書き出しには、小説家たちのさまざまな創案と工夫が凝集されています。それらを導きの糸にして、小説の魅力や読む楽しさを解説します。名作、問題作、異色作等、あらゆるジャンルの小説を洋の東西、長短編にかかわらず、多様な切り口から紹介し、読書案内にも最適な一冊」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・ある小説を書き出しの表現に心惹かれて読み始める。これは誰の読書経験でもあることにちがいない。風景や出来事の描写、気分や心理状態の表出、格言的な言い回し、人物や場所の紹介、会話や手紙など、さまざまに工夫された書き出し文に心が動いた瞬間、誘いの力が働き、物語を先へ読み勧めていく。最初の言葉との出会いの手応えが、まさにこれから読む小説への期待の地平をひらくのだ。
 
・本書は古今東西の小説の書き出しをめぐり、さまざまな誘いの表現の持つ面白さを紹介し考察を加えたものである。あわせて、いくつかの作品を例にあげ、書き出しがいかに作品全体と魅力的に相関しかっているか論じた。こうした試みをとおし、読者が小説を読む楽しさに出会う読書ガイダンスとなることをめざしている。
 
ときには少し難しいと感じられる本に挑む読書こそ大切だと思う口当たりのいいものだけでは、滋養にならない。歯ごたえのあるものを咀嚼するうちに、読書のスタミナがつく。こうした読書の積み重ねで身につける思考力や感性の経験値は、人生のさまざまな応用問題に直面したとき、意外にタフな対応を可能にするのだ。
 
・誰でも経験から知っていることだが、笑いというものは誘惑的な伝達力を持っている。つまり、笑い話を聞くと、どうしても人に伝えたくなるのだ。
 
アメリカのボストン美術館在任中でも羽織袴を着て過ごしていた岡倉天心は、その人目を引く風采のためか、初対面の人にこう訊ねられた。
 
Which nese are you Chinese or Japanese?
 
「あなたは、どっちのニーズなの、チャイニーズそれともジャパニーズ?」
という質問だ。すると天心はまことに機転のきいた応答をして、相手をやりこめた。
 
Which key are you,donkey,monkey,or Yankee?
 
「あなたはどのキーなのかね?ドンキーか、モンキーか、それともヤンキーか?」ドンキーには「ろば」以外に「うすのろ、まぬけ」、モンキーには「猿」のほか「人まね好き、いたずらっ子」の意味がある。こうした機知あふれる笑い話を知ると誰かにいいたくなる。
 
 
吾輩は猫である」(夏目漱石)「トリストラム・シャンディ」(ロレンス・スターン)「続いている公園(『コルサタル短編集より』)」「檸檬」(梶井基次郎)「アンナ・カレーニナ」(トルストイ)「どんぐりと山猫」(宮沢賢治)「怪しい来客簿」(色川武大)など。

 

終わりよければ全てよし、だけど「最初が肝心」「第一印象」って言葉もあるからね。書き出し、最初のインパクト、大事だね。オススメです。(・∀・)