「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「死ぬまでに行きたい海」(岸本佐知子)

 
 
・中学高校のことは濃密に覚えているのに、大学にいた四年間の記憶は、かき集めてもなぜか三日分ぐらいしかないただ何となくぶざまだったという印象だけがある。
 
夏には毎年人格がある。今年の夏は大人物だった。大量のセミと台風を引き連れて、さくっと最高気温37度の新記録を叩き出す、華やかな暴れん坊だった。今年こそ、せめて終わりをきっちり見送りたい。でもいったいどうやればいいのか。
 
この世に生きたすべての人の、言語化も記録もされない、本人すら忘れてしまっているような些細な記憶。そういうものが、その人の退場とともに失われてしまうということが、私には苦しくて仕方がない。どこかの誰からがさっき食べたフライドポテトが美味しかったことも、道端で見た花をきれいだと思ったことも、ぜんぶ宇宙のどこかに保存されていてほしい
 
・とりあえず、家を出て右に進んだ。大通りに出るには左で、ふだんはどこに行くにもまず家の前の道を左に行く。右に行くのは、スリッパの左右をはきちがえたような違和感があった。あの日もそうだった。
 
私は超がつくほどの、鬼がつくほどの出不精だ。一歩も地面を踏まない日はざらだし、すぐ角を曲がったところにあるクリーニング店に行こう行こうと思いながら半年そのまま、などということがふつうに起こる。だから文芸誌「MONKEY」から何か連載をとの依頼をいただいたときにどこかに出かけていって見聞きしたままを書きたいです」と自分の口が勝手に言ったことに驚いた。
 
いまだに理由はわからない。「死ぬまでに行きたい海」というタイトルは、いつかインタビューで、死ぬまでに行きたい海があって、それはどこどこの海だ、と言っていたのだろう。でも私はいつどこでそんなことを言ったのか、まるきり思い出せなかった。ところで、私の言っていた死ぬまでに行きたい海」がいったいどこだったのかいまだに気になっている。それを思い出せたら、どんなに遠くても行ってみたい。
 
 
「海芝浦」「YRP野比」「三崎」「丹波篠山」「世田谷代田」「バリ島」など。

 

やっぱり死ぬまでに一度は「海芝浦」へ行ってみたいよね。今年は、行こうかな!オススメです。(・∀・)