昔、映画の「青い山脈」だったっけ?「恋しい、恋しい」を「変しい、変しい」って読むシーンがあったよね〜!♪(笑)
この本も最初「恋愛小説」か思ったら、ホントに「変愛」だった!さすが!岸本佐知子さん編だけあるっ!!!
「変てこだったりグロテスクだったり極端だったりする、究極に純度の高い愛のアンソロジー。人気作家勢揃い! ●川上弘美●多和田葉子●本谷有希子●村田沙耶香●吉田知子●深堀 骨●安藤桃子●吉田篤弘●小池昌代●星野智幸●津島佑子」やっぱり、変愛っていったら村田沙耶香さんだよねー!そのエッセンスを紹介しよう。
・前口上 岸本佐知子
・数年前に『変愛(へんあい)小説集』 という翻訳アンソロジーを編みました。文字通り「変な愛」 を描いた小説ばかりを集めて訳した本です。 たとえば近所に生えている木に死ぬほど恋してしまう女の話。 あるいは妹の部屋にあるバービー人形と真剣交際する少年の話。 可愛さ余って若い男の子を丸ごと呑み込んでしまう女の話。 恋人が乗っている飛行船をどこまでも追いかけていく話。等々。
・この変な愛たちは、 じつは究極の純愛であることに気づいてしまったのです。 恋愛というものの形を追求していくうちに、 こんな変な物語ができあがってしまったのです。 ここに作品を寄せていただいた作家のみなさんは、 私が日頃からひそかに、 すばらしい変愛小説に書き手としてお慕い申し上げている方々ばか りです。描き下ろしをお願いするにあたって、 こちらからは何も注文はせず。ただ、 愛について書いてほしいとだけ思いました。
そうして集まった作品は、 どれも私の期待をはるかに超えて変てこだったり極端だったりする 、素敵に純度の高い愛の物語になりました。 不思議な形の性愛があります。病としての愛があります。 見たことのないような生殖です。「これぜんぶ訳してぇぇぇぇ!」
【トリプル 村田沙耶香】
・外国はもっと進んでいて、同性婚より先にトリプルの結婚、 三人での婚姻を認めるべきだ、というデモが何度も起こっている。 三人で結婚すれば家事は楽だし、二人が働いて、 一人が育児に専念すれば少子化だって解消されるかもしれない。
・三人でキスをするのは、大人が思うよりずっと簡単だ。 120度ずつ角度を分け合って顔を近づけると、 驚くくらいしっくりと三つの唇が合わさる。 まるで最初からそうなるための身体の仕組みだったように、 三人でのキスはしっくりとうまくいく。 私は二人でのキスをしたことがない。圭太はあるみたいだけど、 三人でキスするほうがずっといい、と言う。
・「今日の『マウス』は、圭太です」 マウス役の子だけが服を脱いで、他の二人は着衣のままだ。 そして、マウス役の子は、身体中の穴で、 他の二人のありとあらゆるものを受け止める「口」になる。 圭太は今、人間ではない。 私たちのあらゆる突起と体液を受け止める穴なのだ。 私たちはただ黙々と、圭太の穴という穴をいたぶり続けた。 身体のあらゆる部分で、マウスを犯し続ける。 そうしているうちに、相手が圭太だということを忘れていき、 自分の肉体の一部を埋め込むということだけに没頭していく。 圭太の穴の中に私たちの体液が流れ込んでいく。「うっ」 という声がして、 いつの間にか勃起していた圭太のペニスからとろとろと白い液体が 流れ出た。マウスが達することを合図に、セックスは終わる。
・愛しさがこみあげてくる。子どもを産んだあとの母親とは、 こんな気持ちになるのだろうか? この突き上げてくるような気持ちが恋愛なのか、 私にはわからない。私と誠は、 同じ罪を犯した共犯者になって圭太を見つめている。 私たちの肉体と体液で犯し尽くされた圭太は、 二人がいないと生きられない弱い生き物であるような顔をして、 白いシーツを握りしめている。 時計を見るとホテルに入ってから5時間が経過していた。 まるで親子のように川の字になって、 私たちは手をつないで眠った。
・このセックスに身体が馴染んていくにつれて、私たちの性器と、 そうでない穴との境目が曖昧になってきているような気がした。 トリプルの恋愛が広がって、性別というものも、 恋人になる上で大きな問題ではなくなってきているような感じがす る。
・耳と鼻と膣に、同時に突起が押し込まれる。どれが誰の突起で、 液体で、何が入ってきているのか、 そんなことはどうでもいいことだった。私たちは今、 夜の中で三人、溶け合っていた。私は二人の胎児になって、 二人から流れ出る羊水の中を泳いでいるのだ。口に広がる苦さで、 自分の喉に精液が流し込まれているのがわかった。その時、 私の中で膨れていた快楽が破裂した。 産まれるような声を思わずあげた瞬間、私の痙攣とともに、 空の星の全てが一斉に震えた。
いいなあ。トリプルっ!やってみたいなー!これがホントの「トリプルプレー」!!!(笑)超オススメです!(・∀・)