「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「あるがままに自閉症です」(東田直樹)

またまた東田直樹さんの本。どの文章も胸をうつ。世界的ベストセラー自閉症の僕が跳びはねる理由』につづく感動エッセイ!「会話で気持ちを伝えられない、思うように行動できず叱られる。本当は感覚のまま、自由でいたいだけなのに――。息苦しさを感じながらも、自分の感性に耳をすませ、言葉を綴ることで自閉の世界の豊かさを伝える著者。18歳で始めたブログを元に自らの体験や心情の変化を記した本書には、当事者や家族へのメッセージが込められている。「あるがままを受け入れるのは、ひとりひとりの心です」ロングセラーの単行本を増補して文庫化」そのエッセンスを紹介しよう。
 
僕は、プレゼントをもらっても「いらない」と言って、相手をがっかりさせてしまうことがありました。プレゼントが嫌なのではなく、つい、そう言ってしまうのです。おかしいと思われるかもしれませんが、それが僕の「ありがとうございます」だからです。何度も練習しましたが、結局プレゼントをもらった時に言えるようになった言葉はいらない」だけでした。
 
・いつも注意されますが、僕の声はかなりうるさいです。母が話している時にも顔を向けず、勝手にこだわりのフレーズを大きな声でしゃべり続けるのでちゃんと聞いているの?」と叱られます。僕は聞いています。どんなふうに聞こえているかというと、好きな音楽を聞きながら人の話しを聞いている感じです。口を閉じればいいのですが、それが難しいのです。自分の意思でうまく声のコントロールができないので、他の人からは、しゃべりたくてしゃべっていると思われるのが辛いです。
 
ビールを、僕がわざと「ジュース」と言うのは、「違う、ビール」と言ってもらいたいからです。答えの内容が知りたいのではなく、その言葉のリズムや音の響きが僕にとっては重要だから、思った音が聴けるまで繰り返してしまいます。言葉遊びは楽しくて、ついやってしまうのです。実用的ではない会話は、会話ではないと思われるかもしれません。けれどもこんな会話でも、その時には心が通い合っているように感じる自閉症者もいることを知ってほしいと思います。
 
・絵本などを読んでいる時に何度も同じ質問をするのは、答えを忘れるからではなく、何度も答えを聞きたいからです。答えを知りたいのではなく、聞きたいのです。たとえばオートバイ」という答えなら、オートバイだけでなく、オートバイが走る道や、空、風景が浮かんできますそれが楽しくて何度も同じ質問をすることがあります。
 
自閉症児の中には、自分の欲しい物を人の手を使って取るクレーン現象」という行為をする子がいます。手を伸ばせば物が取れるのに、どうして人の手を使うのだろうと思われるでしょう。僕にとっては、物を取ることと意識して物を手に入れることは、全く別のことだったからです。物を取るというのは手が物をつかむ」ことです。そのシーンを再現するためには、人の手でなければならなかったのです。自分でやればいいと思われるかもしれませんが、僕が知っている人が物を取る動作」を目の前で見なければ手に入らないような気がしていたのです。
 
僕は待つのが苦手で、指定された場所に一人でいることが難しいのです。「そこにいて」言われた内容は理解できますが、体が動いてしまうのです。そのため今も僕は、座って待つ練習などを行っています。その時気をつけているのは、そこにいなければいけないと覚えておくことです。
 
・僕は、食事のとき以外に飲み物をあまり飲みません。喉が渇かないとか、呑むことにこだわりがあるわけでもありません。食事以外で飲み物を飲むということに気づかないせいだと思います。信じられないかもしれませんが、自分で判断できないのです。飲んで良いか悪いかの判断ではなく、喉が渇いた時には水を飲むという判断です。喉が渇いても、誰かが「飲む?」と声をかけてくれたり、他の人が飲んでいる姿を見たりしなければ、冷蔵庫を開けた時にジュースがあるのがわかっても飲もうとしません。これを飲めば、喉の渇きが解消すると気づかないからです。
 
親や先生が、あきらめないでいれくれたら、自分の可能性を信じ続けることができます。子供は、夢がないと生きていけない生き物だと思います。なぜ、みんなみたいにやれないのかということを考えるより、どうすればその子が毎日楽しく保育園や要内縁に通えるのは、それを考えてほしいのです。
 
みんなと一緒に歌うことは四年生位になるまでできませんでした。それは、歌を歌いながら聴くことが難しかったからです。みんなの歌声が聴こえてくると、聴くことで頭がいっぱいになり、ぼーっと立っているだけでした。音楽が好きだったので、それでも楽しかったです。
 
僕は、花をきれいだと思う人間の感性が好きです。ただ、咲いていることが美しいのです。人間も、そこにいるだけで大切な存在だ、と思われることが幸せなのではないでしょうか。
 
治らない障害というものは、時代が僕らに何か望んでいることがあって、僕らをこの世に誕生させたに違いない。
 
生きているということは、思いがあるということです。重度の自閉症者であっても、この世界を自分なりに見つめています。嬉しい気持ちや悲しい気持ちだけが、人の感情ではないのです。言葉が思いを超えることはありません。けれども、僕は言葉を綴ることで、人が人である意味を解き明かせるのではないかと信じています。
 
「話したいのに話せない」「制御不能な身体」「鏡文字」「玉入れ」「友達」「二人の僕」「母の日」「告知」「幸せだと思う瞬間」「ヒーロー」「心が揺れる」「ここ」「服を噛む」「テレビ欄」「思考」「水の中」「空は人の心を映す」など。
 
実に深い。よくぞ言葉にしてくれた。これで自閉症の人の心がわかるようになったよね。生きているだけでいいんだよね。超オススメです。(・∀・)