最近、気に入っていて、全作品読破を目指している内田樹さんの本。この本は自叙伝です。あの名門日比谷高校を中退して、大検で東大に行ったのか〜!あの時代でスゴイなあ〜!!!波乱万丈だなあ!(・∀・)
どのページもオモシロイのだが、その中の「1966年の日比谷高校「その1」」に書かれいる内容がめちゃめちゃ深かった。そのエッセンスを紹介しよう。
・僕が「かっちゃん」から受けた影響ははかりしれない。 なにしろ僕はまだ16歳になったばかりで、ほんとうに「 スポンジ」が水を吸うように、 未知のことに対して開放的だったからである。
・僕が彼から学んだいちばん大きな教訓は「こども」のままでは「 おとな」になれない、ということだったと思う。僕は「こども」 でも知識や技能を身につけ、経験を積むと「おとな」 になれると思っていた。「かっちゃん」はそれは違うと言った。「 こども」と「おとな」の間には乗り越えがたい「段差」がある。 そして、その段差を超えるときに「こども」 のもっている最良のものは剥落して、もう二度と取り戻せない。 その「段差」はだんだん迫っている。いまのこの時間は「 こどもでいられる最後の時間」なんだ。だから、 その時間を味わい尽くさなければならない。「かっちゃん」 は16歳ですでに自分のもっているもののうちで「限りあるもの」 のリストを作っていた。
・僕はその理路がよく理解できなかったけれど、 それから半年ほど他の仲間たちと「限りあるもの」 を味わい尽くすというプロジェクトに熱中した。 それはめちゃめちゃに楽しい日々であった。そしてある日「 かっちゃん」は「おしまい」を宣言した。 僕にはその意味がうよくわからなかった。「もっと遊ぼうよ」 と僕はごねた。かっちゃんは「おしまいがあるから楽しいんだよ」 とちょっと悲しそうな眼をした。「さあ、おとなになろうぜ」 僕はそのあともなかなか「おとな」になれず、 ずいぶん苦労をすることになった。
・「かっちゃん」はちゃんと「おとな」になって、 祖父が建学した昭和大学医学部に入り、卒業して大学に残って、 研究者になり、やがてその大学の先生になり理事長になった。 だから、58歳になった「かっちゃん」 の笑顔は17歳のときに見たのとあまり変わらないのである。
「小学校で登校拒否」「高校中退、そして家出」「 東大には入ったものの」「合気道とういう修行」「 研究者生活の実情」「人間は基本的に頭がよい」「 仕事で成功することを求めない」「空き時間は天からの贈り物」など。
なんとなくわかる気がする。「限りあるものリスト」まだやり尽くしていない気がする。男ならなんとなくわかるよね。深いなあ。オススメです。(・∀・)