「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「字のないはがき」(向田邦子=原作、角田光代=文 西加奈子=絵)

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 この話は感動するなあ……泣けるなあ……厳格な明治生まれのガンコ親父のことがよくわかるなあ……。(T_T)

「脚本家、エッセイスト、直木賞作家である故・向田邦子の作品の中でもとりわけ愛され続ける名作「字のない葉書」(『眠る盃』所収)が原作。戦争中の、向田さん一家のちいさな妹と、いつも怖いお父さんのエピソードを綴った感動の実話。そのエッセンスを紹介しよう。

 
わたしの家族は 六人。
きびしくて、怒るとこわいお父さん。
いつも しずかなお母さん。
 
わたしが いちばん上のこども。
下に、弟、おおきな妹。
それからちいさな妹がいます
 
戦争が はじまって わたしたちの暮らしは、前とは ずいぶん違ってしまいました。
食べるものも 手に 入らなくなりました
わたしたちの 住む町にも 爆弾が 落とされて
お家を なくす人も 家族をなくす人もいます。
 
おおきな妹は、前の年に、疎開していました。
でも ちいさな妹は あんまり小さくて かわいそうだから 
まだ 家族と一緒に 暮らしていたのです。
でも そのちいさな妹も、とうとう、疎開することに なりました。
 
お父さんは数え切れないほどのはがきを用意して その全部の宛名にきちんとした字で自分の住所と 名前を書いてきます。
 
おとうさんは、ちいさな妹を呼び、いいました。元気な日は、はがきに まるを書いて、毎日、一枚ずつポストに入れなさい」
 
ちいさな妹は、まだ字がかけかなかったのです。
 
一週間後 ちいさな妹からはじめてのはがきが 届きました。
はがきいっぱい、はみだすくらいの、大きな、大きな、赤えんぴつのまる。
 

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田舎には、ここと違って おいしい食べ物が まだまだあるんだね。
だからこんなに元気なんだね と、わたしたちは。安心して話しました。
 

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ところが 次の日から急にまるは 小さくなってしまいました。
黒えんぴつで書かれた、小さな、まる。
 
毎日、毎日まるは小さくなっていきます
 
 
そうしてあるとき、ついに、ばつになってしまったのです。やがて、ばつのはがきも来くなってしまいました。
 

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しばらくして お母さんが
ちいさな妹をむかえに行きました。
ちいさな妹は ひどいかぜをひいて
せまい布団部屋に 寝かされていたそうです
 
ちいさな妹が 夜遅く ようやく「帰ってきたよ!」と大きな声で 叫びました。
 
茶の間に座っていたお父さんは ばっと 立ち上がると はだしで 外に 駆け出していきました。
 
ますます小さくなってしまった妹を抱きしめて おおん おおん と声を上げて なきました。
 
いつも怒ってばかりの こわいお父さんの 大きな泣き声が 
静かな夜に 響いていました
 
 
……いいなあ……エッセイで泣けたけど、絵本だとさらに泣ける……8月の終戦のことを語るときにぜひこの絵本を読んでほしいなあ!超オススメですっ!!!

 

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