先日、はじめてバイオリンとジョイントで演奏してビックリした、驚いたっ!!!ナマのバイオリンの音色はもちろん聞いたことがあるが、目の前で聞いたことがなかった。「精霊流し」「無縁坂」を歌ったときに、ナミダがあふれて止まらない……。バイオリンによって、歌詞の一つひとつの意味とか作者の想いが音色に伝わってきたみたいだ……。こんな経験は初めて。ギターと違うバイオリンの奥深さを体感したライブでしたっ!♪
さてこの本。大好きなほしおさなえさんの子ども向けの本。
「小学校6年生の梢は、母親とふたりぐらし。幼い頃交通事故で亡くなった父はバイオリン奏者だった。母は父のいた楽団で働いている。梢も父の遺したバイオリンを弾いていたが、ある事故がきっかけで、うまく弾けなくなり…。同じ頃、突然楽団は解散することになった。気力をなくした母親は、梢を連れて、夏休みにしばらく田舎にある実家に戻ることにした。梢は、山間の小さな町を散策するうち、幼稚園くらいの小さな男の子と出会い…?」そのエッセンスを紹介しよう。
・年齢も性別も仕事も関係なく、虹は人を引きつける。 虹を見ると、 梢はなぜかいつも世界に虹と自分しかいなくなってしまったような 気持ちになる。虹は消えかかったしゃぼん玉のように色を失い、 空に溶けてなくなった。人々は空を見上げるのをやめ、 またそれぞれ別のことをはじめた。 お祭りが終わったときのように。
・バイオリンを弾いているときだけが音楽を学ぶ場ではない。 歩いているときもスポーツをしているときも、 身体のなかにはいつも音楽がある。それを感じるのが大切なんだ。
・波はね、海のリズムなんだ。 そのときそのときでリズムは変わる。大きくなったり、 うねったり。お父さんはそう言って、 なにかメロディを口ずさんだ。顔は見えなかった。 強い光で影になっていた。
・木は生きてるんだよ。それに動いているし。 木や草は歩いたりしないけど、大きくなるでしょ。 その場所で少しずつ大きくなる。 すごく時間がかかるからわからないけど早送りにするとぶわあああ ってね、枝が増えたり、蔓が巻いたり、増えたりするんだよ。 人間はせっかちだから。人間の目に見えるものは、 ほんとは限られているんだよ。すごく早いものは見えないし、 おそいものも見えない。でも、見えないくらい早いものも、 見えないくらいおそいもののちゃんとあるんだよ。
・みんな、みんなみんな、きれいだ。弦の感触が右腕に響き、 音が世界に広がって行く。ちがう、 わたしが弾いているんじゃない。音楽の波にのっているんだ。 世界がふるえている。ああ、お父さん、 お父さんはずっといたんだね。世界の中に、 空気の中に溶け込んで、わたしのそばにいたんだね。 バイオリンを弾くときに、 わたしのところにやってきていたんだね。
・木は長いものだと何千年も生きる。一年草はたった一年。でも、 種になって冬を超すんだよね。 木はひとつの大きな身体で何年も生きる。草は身体を変えて、 やっぱりずっと生きている。ほんとは同じことなんじゃないか、 って。植物たちにとっては、 身体が変わるのもひとつの身体であり続けるのも、 生きているのにちがいないのかもしれない、って。
・たしかにね、人はみんな死ぬ。けど、だからって、 なにもかもなくなるってわけじゃない。 おじいちゃんだって全部消えてなんかいないよ、 木にも家にもおじいちゃんの気配が残ってる。 お母さんのなかにだって、お父さんもだよ。 梢にはお父さんの血が流れてるじゃないか。
・お父さんの癖が残ってるんだ。 長いあいだだれかに使われているバイオリンの指板は、 持ち主の癖でわずかにすり減っていく。 これがお父さんの指のあと。指がふるえた。 これがお父さんの手のあと。お父さんが生きていた、あと。
・パン屋をはじめるのはいつだっていい。親にとってはね、 自分の夢も大事なんだけど、 子どもの夢をかなえるのも夢なんだよ。子どもは、 親にとっては自分の未来なんだから。
読みながらお父さんのバイオリンの想いが伝わってくるよう。音色が伝わってくるよう。オススメです。(・∀・)♪