その昔、月亭可朝の『嘆きのボイン』を聞いたときには、ビックリしたなあ!落語家なのに、帽子をかぶってギターを弾いてけったいな歌を歌っている!そしてストーカー疑惑で逮捕されたことも記憶に新しい。可朝師匠は、ハチャメチャな博打ウチだったとは知らなかった!♪
・思えば、我が半生は修羅場の連続だった。競馬、競輪、競艇、 麻雀、ポーカー、オイチョカブ、 そして野球賭博と博打三昧である。 最議院選の出馬などは博打の最たるものだろう。 当選すれば六年間の歳費が入るが、 落選すれば一文無しどころか借金を背負う。 まさに一か八かの大勝負だ。
・「野球賭博はなんであきまへんのや」
若い方の刑事が呆れ顔で答えた。
「暴力団の資金源になっとるからに決まってるやろ」
そこで可朝は膝を叩いた。
「アホか!」大声で怒鳴られた。
・ 可朝師匠が交際相手の女性の訴えによりストーカー規制法違反容疑 で逮捕されたというニュースが飛び込んできた。 信じられなかった。 どうしても師匠とストーカー行為が結びつかない。艶福家だから、 女性との別れ話がこじれたか痴話喧嘩がエスカレートし、 警察沙汰になってしまったに違いないと推測した。
逮捕から十日目の朝、師匠から電話があった。いきなり「 ストーカーの可朝だす」と言ったので大笑いした。 同時に元気な声を聞いてほっとした。これぞ可朝の本領である。 野球賭博で逮捕され、釈放された直後、 出演したキャバレーのショーで「極悪人の可朝だす」 と挨拶したエピソードを思い出す。
・参院選に出馬して落選した時、 美人局の被害にあって裁判沙汰になった時、 仏壇のロウソクから火が出て自宅が全焼した時、 単純賭博罪で罰金刑を食らった時、 いつも師匠は事件をネタにして洒落のめし、 己を笑いものにしてきた。それが可朝という芸人に生き方なのだ。
『嘆きのボイン』『女は魔物』『カエルの災難』『ひかり号』など。いいなあ。今どき、こんな芸人さんっていなくなったよね〜!一人くらいは出て欲しいよね〜!オススメです。(・∀・)