「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「今夜もハシゴ酒 酒童夢譚」(はらたいら)

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今夜もハシゴ酒―酒童夢譚
 

 

クイズダービーで有名だった漫画家のはらたいら。14年前に63歳で亡くなったんだね。もうそんなになるのか。酒飲みだったはらさんの24年前に書かれたエッセイ集。とても懐かしく、はらさんってそんな人だったのかあ……と思いを馳せて読みました。同じ「酒飲み」として(!?)共感する内容が多かった。そのエッセンスを紹介しよう。(・∀・)

 

この世の中には酒を飲む人間と飲まない人間の二種類がいる。いったいどちらがより楽しい人生を送ることができるのか……。思えばこれまでよく飲んできた。東京での貧乏暮らしの時代、漫画家として一人立してから今日に至るまで、振り返ってみると、いつもそこに酒があった。最初は興味本位で飲み始めた酒だったけれども、だんだん人生に不可欠なものだということがわかってきた。いわば酒は人生の潤滑油酒によって人生は百倍楽しくなるとぼくは思う…。


・中学二年で漫画を書き始めて、三年のときには、もう月に一万円くらいの収入があった。月に一万円あればけっこうなものだった。

 

クイズダービーでの正解率が非常に高かったのはラクがある。そもそも出題される問題は、ぼくのような、社会戯評をぴゃっている漫画家が興味を持つものが多かったのである。時事ネタの漫画を描くには、いま世界で起こっているあれこれを知っておく必要がある。政治経済から、スポーツ、芸能まであらゆるジャンルの情報を仕入れておかなければならないだから新聞は朝日、読売、毎日、日経と、スポーツ紙を十祇、週刊誌も男性誌女性誌合わせて約十誌ほどを購読している。カミさんや居候君たちに、これを手分けして読んでもらって、漫画のネタになりそうなものをピックアップしてもらっている。これが僕の情報アンテナなのである。もちろん、興味を引かれるものがあれば、自分で熟読もする。幸い、クイズダービーの出題には、時事ネタがらみのものがけっこうあった。これがけっこう当たった。

 

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・土佐は、古くから反権力指向の強いところである。横山隆一やなせたかし、改田正直、黒鉄ヒロシ……。高知県が数多くの漫画家を輩出しているのも、実は、こういった土佐の反権力・反体制指向、独立志向と、密接な関係がある。漫画の起源は、平安時代に権力者を揶揄した鳥獣戯画なんかにたどりつく。つまり、漫画とは、本来的に反権力的な性格を持つ表現方法だったのである。

 

下落合の三畳間にいたころ、一番飲んだ酒は、やっぱりトリス。とにかく安かったからである。飲み方はたいていストレート。当時はまた水割りにする習慣自体がなかったように記憶している。キャップに一回に少しずつしか注げないから、チビチビ飲むには好都合だった。あのころはビールはほとんど飲まなかった。というより飲めなかった。高かったからである、いったん開けると保存がきかないから、不経済で、当時として贅沢な飲み物だったのである、飲めるのは、たまにギャラがドンと入ったときだった。


・これまで自分なりにいろいろな飲み方をしてきたけれど、その中で一番、自分に合っていると思うのは、座敷で適当に料理が並べられていて、酒も適当にあって、好きなように飲んで好きなようにつまめるといったスタイルの酒席だ。要するに、村祭の晩の酒盛りなのである。

 

我々はなぜ、こうも酒を飲むのだろうか。その理由が科学的に解明された。ヒントは、日常的に酒場に通うのは女より男の方が圧倒的に多い、という…にあった。それは「精子」である。トップでゴールすることに成功した、たった一匹の精子だけが、栄光を手にすることができる。まるで人間の縮図を見ているようだ。実は、我々男は、自らの運命がこのようにはかないものであることを、本能的に知っているのである。その切なさ、やるせなさをまぎらわすために、今日も、粛々と酒場に通うのだ。ときには、勇躍スタートを切ったつもりの精子君たちの出口が、無粋なゴムでふさがれていることがある。自分たちがもはやレース参加することさえ許されないことを知ったときの、彼らの悲しみの深さにどぞう思いをはせていただきたい。これはもう、飲むしかないではないか。

 

早死にする漫画家のいかに多いことか。手塚先生しかり、先日の藤子・F・不二雄さんしかり…また、テレビや雑誌などで元気で活躍しているように見えても、この業界にはいろんな持病を抱えている人が実に多いのである。締切に追われる仕事は、とにかくストレスがたまる。タバコの吸いすぎ、イライラがつのり、運動不足、肩も凝るし、目も悪くなる。仕事が終わっても、まだ神経はピリピリしている。この緊張をほぐすには、酒を飲むしかないではないか。というわけで、いそいそと酒場に出かける。

 

理想の女性とはどういうものか。男が一緒に、お酒を飲んで楽しく感じる女性は、だいだい3つのタイプ。

 

1 利発でユーモアがわかって、会話のキャッチボールが楽しめる女性

2 静かにそばにいて、くつろがせてくれる女性

3 いつでもすきなとき抱かせてくれる女性

 

漫画家をはじめ、作家、映画監督、俳優等々、何かしらクリエーティブな仕事をしている人種には、不思議と酒飲みが多い。それはなぜだろうか。アルコールの分解物質によって、大脳の機能の一部が麻痺させられる。素面のときには思いも付かなかったすばらしいアイデアがひらめくのは、実は、こんな風に頭の回路がちょっと切り替わったときなのである。この状態を、酒飲み用語では「来た」状態という。

 

はー!そうか!ワタシも「酒場のギター弾き」としてクリエイティブな毎日を送っているので(!?)酒を飲むのかー!(笑)。さあ、今日も飲みに行こう!オススメです。(・∀・)

 

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今夜もハシゴ酒―酒童夢譚