一人暮らしを始めた新卒の23歳の頃から料理を作り始めていまだに我が家のほとんどの料理(というかお酒のおつまみ(笑))は、ワタシが作っている。家にいるときはじっくりとゆっくりと新しいレパートリーを練習して日夜、旨いものを作ることにチャレンジしている。(・∀・)
さてこの本。ここ数年、「初恋」をしていないなあ!そりゃ初恋じゃないか!(笑)
「京都の路地に佇む大正時代の町屋長屋。どこか謎めいた老婦人が営む「男子限定」の料理教室には、恋に奥手な建築家の卵に性別不詳の大学生、昔気質の職人など、事情を抱える生徒が集う。人々との繋がりとおいしい料理が心の空腹を温かく満たす連作短編集。特製レシピも収録!」そのエッセンスを紹介しよう。
・年配の司書が挨拶をしたあと、永遠子は絵本を広げ、 読み聞かせをはじめる。智久だけは、絵本の内容ではなく、 彼女の声に夢中だった。こんなに気持ちのいい声の持ち主を、 ほかに知らない。軽く目を閉じて、思う存分、 彼女の声を堪能する。このまま、永遠子の声に身をゆだねて、 まどろむことができたら。どれほど心地よいだろうか……。
・「料理ができる男性って、素敵ですよね」その一言で、 智久は心に決めた。料理のできる男になろう。そして、 料理教室に通うことにしたのであった。
・「おいしいものには、ひとを引き寄せる力があるんですよ」 にっこり微笑むと、愛子先生は言った。
・永遠子と出会ってからというもん、なにもかもが新鮮で、 輝いているようだ。学生時代の憧れの建築物をこの目で見るため、 ヨーロッパやインドを旅行したときのような高揚感が続いている。 たったひとりの女性。それも、 まだ恋人でもなんでもないというのに、ただ、 そのひとが存在しているというだけで、 これほどまでにエネルギーが湧いてくるというのは、 自分でも不思議な感覚だった。
・女性を見て、ケーキを連想する。これまでの経験上、それはヴィンセントにとって、 恋に落ちかけているという証拠であった。 黒が似合う大人の女性には、ガトーショコラがぴったりだ。 香り高く。酸味と苦味を兼ね備えた奥行きのある味わい。 うまく年齢を重ねた女性こそ、 お菓子作りにおける創作意欲の源泉だ。
・「であいもんって、なんですか?」「組み合わせによって、 お互いを引き立てあうようなお料理を『であいもん』 というんですよ。たとえば、海の幸であるちりめんと、 山の幸である山椒が出会うことで、ちりめん山椒になります。 棒鱈とえび芋、にしんと茄子…… 出会うはずのなかったふたつの素材が、 ふと交わった一瞬やからこそ、 奇跡的な味わいになるんかもしれませんね」 組み合わせの問題なのだ。これもまた、であいもん、だろう。 自分と須磨崎のあいだには、どんな化学変化が起こるだろうか。
・結局、なにも言えなかった。行き先も告げず、突然、あのひとはすがたを消した。悲しみに打ちひしがれながらも、教わった料理を順番にすべて作っていった。料理だけが、ふたりをつなぐものだった。とてもつらくて、胸が張り裂けそうだったのに、おいしい料理を食べているうちに、再び、笑えるようになっていた。あの人がいなくなったあとも、あのひとが残してくれたものが、幸せな気持ちにしてくれたのだ。
・夫に先立たれたときには。ぽっかりと胸に穴があいたような気分になった。残りの人生、どないしようか……と思ったとき、ふっと頭に浮かんだのが、料理教室だった。自由の身になったいま、本当に好きだったことをしてみよう。このまま自分が死んでしまえば、あのひとの思い出も消えてしまう。あのひとから受け取ったものを、だれかに伝えたい……。そんな思いから、料理教室をはじめることにしたのだった。自分の教えた料理を、だれかが作ることで、命の営みがつながっていくのだ。生きていること。空腹を感じること。料理を作ること。そんな一日が、今日もまた。自分に与えられたことを感謝しながら、愛子先生はゆっくりと身を起こした。
「三匹の子豚」の「furze=ハリエニシダ」って知らなかったなあ!巻末レシピの「大根と鶏の炊いたん 生斑入り」「生麩のチーズ挟み揚げ」「生麩田楽」「梅酒のお手軽ソルベ」「梅酒のお手軽サヴァラン」「甘酒のクレームブリュレ」「胡麻豆腐」「精進スープ」「粕汁」はぜひ作ってみよう!♪ 続編が読みたいなあ。オススメです!♪(・∀・)