最近、ハマっている、ほしおさなえさんの本。「活版印刷 三日月堂」もそうだったけど、印刷とか紙の世界にハマってしまうなあっ!!!
「編集者の母と二人暮らしの百花はある日、叔母に誘われた「紙こもの市」で紙雑貨の世界に魅了される。会場で紹介されたイケメンだが仏頂面の一成が、老舗企業「紙屋ふじさき」の親族でその記念館の館長と知るが、全くそりが合わない。しかし百花が作ったカードや紙小箱を一成の祖母薫子が気に入り、誘われて記念館のバイトをすることに。始めはそっけなかった一成との関係も、ある出来事で変わっていく。可愛くて優しい「紙雑貨」に、心もいやされる物語」そのエッセンスを紹介しよう。
・紙ってどうしてこんなに魅力的なんだろう。 すぐやぶれそうだし、水にも弱いし、なんというか、儚い。 だからだろうか。 いくらきれいないものを手に入れても結局使えない。 いつか使う日を夢見て、そっと引き出しに取っておく。ああ、 そういえば、父からもらった束見本もそうだったっけ。
・わたしはやっぱり紙の本が好きだ。 なかに書かれた言葉だけじゃなくて、紙に印刷された文字、 表紙の佇まい、すべて含めて本なのだ。ページをめくるときの音、 手触り、本の匂い、そういうのすべて含めて読書なのだ。 わたしたち人間が、 思考だけでできているわけじゃないのと同じように。
・紙はむかしから強い力を宿すものだった。 文字は言葉は形にしたもの、目に見えない重さがあると語り、 文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている、と書いていた。 紙の力。その通りだと思う。だけどいまは、 文字をのせるのは紙だけじゃなくなっている。パソコンにスマホ。 電子の文字が世界中にあふれている。そのうち、 記録のための紙は必要なくなってしまうんじゃないか。 和紙にかぎった話じゃない。だけど紙には力がある。 みんなそのことを知っているから紙に惹かれる。 薫子さんも柳田さんも藤崎さんも。 紙こもの市に集まってくる人も、きっとそうなんだ。
・「細川紙、本美濃紙、越前和紙、石州半紙……きれいだな。 なんだからなつかしくて、涙がでる。なんでだろうな。 こうやってだれかの手に作られたものは、いつだって……。 小さくても、切れ端でも、あたたかい。このままいけば、 和紙は高級な工芸品になってしまうだろう。 印刷では用紙に勝てないし、障子や襖だってなくなっていく。 作れる場所も、作れる人も減って、 いつかは消えてしまうかもしれない。 それが世の中の流れなら仕方がないことなんだよなあ。だけど、 これがここにあったことを覚えておいてほしい、 って思ってしまう。だって、ここにあるんだから」
いいなあ……この雰囲気。紙っていいねえ。ほしおワールド、全開っ!オススメです。(^_^)