「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「話術」(徳川夢声)

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話術 (新潮文庫)

話術 (新潮文庫)

 

リモートワーク、テレワークをやっている人も多いと思うが、ワタシはいつでも「テルワーク」です。(笑) 人と合わない今だからこそ!コミュニケーション、話すことは大切だよね〜!!!人前で話す、歌うことをやっているワタシ。改めてそう思うのであります!(・∀・) ♪

さてこの本。初刊はナント!1947(昭和22)年、戦後2年目に書かれた「話術の神様」が語る「話術」の本なのだっ!!!

 
話は誰でもできる。だからこそ、上手に話すことは難しい。日常の座談では、何を、どう話すか。大勢の聞き手を相手にするときに気を付けておくことは。声の出し方、間の置き方はどうする?一人で喋るな、黙りこむな。お世辞、毒舌、愚痴、自慢は、やりすぎると嫌われる。ほら吹き、知ったかぶりは恥ずかしい。人生のあらゆる場面で役に立つ、“話術の神様”が書き残した“話し方”の教科書」そのエッセンスを紹介しよう。
 
 
芸道の真の名人というものは、その道に関する説明的著書など発表しないのが、昔からの常態らしい。そんな文字を記すものは、まず、第二流の徒のようである。そこで、こんなものを書いた私は、話術家として、第二流、第三流、もしくはそれ以下ということになりそうであるが、それも大いに結構である。
 
・日本が国際的舞台を背景に飛躍しつつある現在、日本語の整備ということが、何よりの先決問題だと、私は考える。それには、話術をもっと修練し発達させ、日本コトバの長所を、存分に発揮させて、正しい、強い、千変万化の表現力を、養わねばならない。私は日常の座談が、もっと深く研究されてよいと思う。
 
ハナシは、太陽の光や、空気や、水や、あるいは食物や、住居(すまい)や、着ものや、そうした生活に是非とも必要なものと同じように、人間の生活には絶対必要です。ところが、それほど大切なハナシというものが、あんまり研究されておりません。放ったらかしでありました。
 
人間が他の動物と違っている点は、火を用いること、笑うこと、着物を着ること、器具を用いること、自殺をすること(こいつはあまり感心しませんが)などいろいろありますが、このハナシをすることも、一大特色です。考えようによると、これが一番高級な人間の特色だといえるでしょう。
 
話はコトバの建築であります。掘建小屋のようなハナシもありビルディングのようなハナシもある。掘建小屋とビルでは、大きさも違いますが、それに使用する建築材料も違います。コトバの材料さえ揃っていれば、いかなる目的をもった話でも、自由自在なわけです。もちろん材料だけではなく、話術という技術も採用しなければなりません。大切なのは、この大字典にある無数の言葉の中から、どういう言葉を選び出すかということです。
 
・相手のない場合、第一番にすすめたいのは、本を朗読することです。
 
ハナシの中に、喋らない部分がある。これを「間」というこいつは、実は何よりも大切なもので、食物にたとえていうとヴィタミンみたいなものでしょうか。話術」とは「マ術」なり
 
・(濱田健吾)夢声は自らの仕事を「舞台俳優」「映画俳優」「漫談」「ラジオ放送」「著述」に分類し「五足のわらじ」と称したうえでで、こう続ける。〈じつはその5つとも全部 “ 話術 ”の延長みたいなものばかり。考えようによると、やはり “ 一足のわらじ ” であったといえる 〉
 
映画説明、漫談、ラジオの物語、ナレーション、俳優、司会、インタビュー、スピーチと、その生涯は話術ひとすじ。執筆活動についても、話術の延長としてこなしたことをつねづね口にした。さまざまなジャンルをこなし、芸能界の第一線を渡り歩いたキャリアは、およそ60年におよぶ。
 
・(久米宏)新人の頃、アナウンサーとして読むべき何冊かの本を教えられたひとつが徳川夢声さんの話し方の本」だった。正に今回文庫化されたこの話術』なのだ。初刊は1947年、戦後2年目に夢声さんはこの本を書いたのだ。そのことに驚愕する。夢声さんは話術について話しているのだが、自分自身を語ってもいるのだ。何階か読み返すと、結局は、話し方ではなく「考え方」について夢声さんが説明している事に気が付くのだ。つまり、どう話すかは、どう考えるかにかかっているという極当たり前の結論だ。
 
・かなり乱暴だが、私なりのこの本の結論をまとめてみる。話術を磨く3つの方法
 
1 人間性を向上させる。
2 考える力を磨く。
3 人の話をよく聴く。
 
宮本武蔵のラジオでの朗読では、吉川英治さんの原作を忠実に読んでいるものと思い込んでいた。夢声さんは、原作を台本ではなく、種本として扱っていたと言っている。「目で見る文章」を「耳で聴く文章」に変えていたのだ。武蔵をはじめ、登場人物のセリフも、音で聴いて分かりやすいように変える更に、状況を説明する地の文も、冗長だと思ったら、青鉛筆で大幅に削っていたというのだ。この一冊は、書かれた時代の色や風、そして日本語への愛に満ちている。この名著の文庫化に大いに感謝する。

 

いや〜深い、深いっ!ヒキコモリの間に話術を磨きたいよね。オススメです。(・∀・)♪

 

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話術 (新潮文庫)

話術 (新潮文庫)