一日一冊一感動!小野塚テルの『感動の仕入れ!』日記

タイトルは、『一日一冊一感動!小野塚テルの感動の仕入れ!』日記。 毎日の読書、映画、グルメ、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。(ときどき「酒場のギター弾き」「B級グルメ」も紹介します)

「麻原彰晃の誕生」(高山文彦)

f:id:lp6ac4:20200405055848j:plain

麻原彰晃の誕生 (新潮文庫)

麻原彰晃の誕生 (新潮文庫)

  • 作者:高山 文彦
  • 発売日: 2018/10/27
  • メディア: 文庫
 

オウム真理教地下鉄サリン事件から25年…… あの時、私はまだ新卒で入った建設資材の会社にいた。テレビで繰り広げられる信じられない映像……しかし、今の「新型コロナウィルス」は見えないサリン……明らかにあれ以上かもしれない……。今こそ、読んでみたいと思ったのがこの本。

 

「少年は熊本の寒村に生まれた。目に障害を抱え盲学校に進んだ彼は、毛沢東田中角栄に心酔。数々の挫折を経て上京し、鍼灸漢方薬で詐欺まがいの商売を行った後に出会ったのが宗教だった。やがて超能力を増幅させるという金属を手に入れて、“尊師”として多くの孤独な若者たちを吸引。狂気の道へと転落していく──「怪物」として処刑された男の等身大の姿を丹念な取材で描き出した伝記」そのエッセンスを紹介しよう。
 
・本書は、やがて盲目となる運命を背負ってこの世に生まれた赤ん坊が、どのようにして人類史上まれに見る狂気の教団をつくりあげたのかをたどる伝記である。彼は弱々しい翅音(はおと)をたてて行き暮れる冬の蠅のような世紀末の若者たちを集めて、ひとつの「国家」をつくろうとした。私は彼に、親しみをおぼえたこともある。この世に生きるべき国がないのなら、自分たちで理想の国をつくろうとしてもよいではないか。差別されてきた者たちが、自由と平等の国をつくろうとしている。そう考えたのだ。でも、それは誤りだった。数々の殺戮を、彼とその教団がおこなったからだけではない。彼は万民の幸福などこれっぽちも考えていなかった彼が求めたのは、保身と繁殖である。このもっとも醜い人間の本能を見せてくれたことは、私たち人類のこれからにとって大きな教訓となるだろう。
 
人は死を遠ざけようとする。遠ざけようとして、食べ、飲み、祈る。そして他社を攻撃する。いつか観たアメリカ映画のなかに、こんな台詞を見つけてドキリとした。麻原彰晃という人物の人生をたどってゆくと、人間というものがどのようにして知恵をつけ、堕落し頽廃してゆくのかが手に取るようにわかる。彼は私たち自身の露骨な欲望のあらわれである。
 
・智津夫「私の親は、国から下りる奨学奨励金を自分たちのために使おうと、私からかすめとったんですよ」
 
・盲学校元教師「盲学校の生徒には、大なり小なり社会に対する憤りや、被害者意識、劣等感があるんです。しかし、ふつうの生徒はそんなことを口にせずに、社会に協力していこうという気持ちをもっていた。とろろが、智津夫には、それがなかった。自分のために、まわりを利用しようという意識ばかりがあった。社会の常識は自分の敵だと思うとった。そして長兄にくらべて智津夫には、人の上に立ちたいという名誉欲が人一倍強くありました
 
・「教師生活のなかで、こちらの気持ちが確実に伝わっているという実感がありました。しかし、智津夫にはそれがないんです。智津夫にあるのは、自己主張だけでした。そして最後に私にのこったものは、あきらめなんですね。智津夫には、教師としての責任感とは、そういう対象からはずれた存在でした。ですから智津夫を語ることには、嫌悪感しかないんです。智津夫がオウムでやったことは、盲学校でしょっちゅうやっていたことの延長です」
 
西山毅夫の言葉に奮い立ったのか、智津夫は不気味な言葉を口にした。「宗教は、蜘蛛の巣を張っておけばいいんですよね。そうしたら、自然にひっかかってくる。あとは弱るのを待てばいいだけなんですよね」
 
・京都にある目川探偵局の目川重治は、天理教に因んであんり教、いんり教、うんり教……」と、あ行から順に適当にならべていった。そうして行き着いたのが、しんり教」だった。「真理教ですか。なかなかいいですね」智津夫は目を輝かせた。ひとつの言葉遊びからひょいと転がり出てきたこの名前は、そのときから智津夫のこころに根を下していた。
 
・1954年、天理教の教団の名前を冠した天理市が生まれた。智津夫にとって天理教というもとものはささやかな民間教団が築き上げた王国として映っていたのだろう。
 
・「チベット密教というのは、非常に荒っぽい宗教で……私も過去世において、グルの命令によってひとを殺しているからね。グルがそれを殺せと言うときは、たとえば相手はもう死ぬ時期に来ているそして弟子に殺させることによって、その相手をポアするというね、いちばんいい時期に殺させるわけだね」
 
・東京拘置所オウム真理教の信者にとって、聖地であるらしい。私は、しかし、彼らに言いたい。ほんとうの聖地はこんなことろではないのだぞ、と。弟子たちに決行させた大罪のすべてを彼らになすりつけて、いつまでも頬かむりをつづける詐欺師。その男が飽食と金満とセックスをむさぼるための詭弁術の核心と、その詭弁を正当化するためのアイテムを手に入れた場所こそ、聖地と呼ぶべきではないか。聖地は東北にある。
 
麻原をとおして見てきたのは、考えつづける力と想像力を放棄した哀れな人間の一代記である
 
・私は先に、松本智津夫は逮捕されるとともに「麻原彰晃から見捨てられたと書いているが、麻原彰晃を名乗りはじめた時点で、とっくに彼は「麻原彰晃から見捨てられていたのかもしれない。あるいは、その運命を背負わされたのだ。自作自演のカタストローフ。ひとりぼっちのソドムとゴモラ
 
……麻原の前世は何だったんだろう……「三つ子の魂百まで」というけど小さいころからそのタネがあったんだね……オススメはしたくないが、あの事件を振り返るのにはいいかも。オススメです。(・∀・)
 
麻原彰晃の誕生 (新潮文庫)

麻原彰晃の誕生 (新潮文庫)

  • 作者:高山 文彦
  • 発売日: 2018/10/27
  • メディア: 文庫