「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「眠る盃」(向田邦子)

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新装版 眠る盃 (講談社文庫)

新装版 眠る盃 (講談社文庫)

 

 直木賞作家で、あの寺内貫太郎一家の脚本家、そして遠東航空機機墜落事故で亡くなった向田邦子さん。以外にも著作を読んだのは初めてでした。いや〜こんなにオモシロイとは思わなかったっ!!!(笑)

 

「荒城の月」の「めぐる盃かげさして」の一節を「眠る盃」と覚えてしまった少女時代の回想に、戦前のサラリーマン家庭の暮らしをいきいきと甦らせる表題作をはじめ、なにげない日常から鮮やかな人生を切りとる珠玉の随筆集。知的なユーモアと鋭い感性、美意識を内に包んだ温かで魅力的な人柄が偲ばれるファン必読の書」そのエッセンスを紹介しよう。

 
・私は、画家のモジリアニを、どういうわけかモリジアニと覚えてしまった。間違って発音してしまうのではとおびえてしまうので、人前ではなるべくこの画家の名前は言わないことにしている。妹は「札の辻」を「辻の札」と思い込んでいた。「泣くな小鳩よ」を「泣くなトマトよ」と歌っていた。
 
私は「荒城の月」の「春高楼の 花の宴」ここまではいいのだが、あとがいけない。「眠る盃 かげさして」と歌ってしまう。ただしくは「めぐる盃」なのだが、私にはどうしても「眠る盃」なのである。子どもの頃、父はなにかとお客を家に連れて帰った。宴会が終り、父は酔いつぶれて座ぶとんを枕に眠っている。ちかくにいつも酒の残っている盃があった。酒はゆったりと重くけだるく揺れる。私は酒も盃も眠っているように見えたのだろう。
 

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「なぜ猫を飼うのですか」とよく聞かれる。これはなぜ結婚しないのですか」という質問同様、正確に答えるのはむつかしい。実は、私自身、理由が判らないからである。「ただ何となく」そして、猫には何故か縁があったが、人間の男には、何故か縁が薄かったということなのだろう。
 
初めて手にした本は、初恋の人に似ています。初めて身をまかせた男性ともいえるでしょう。
 
うちの電話はベルを鳴らす前に肩で息をする。
 
「字のない葉書」「檜の軍艦」「能州の景」「ツルチック」「父の風船」「水羊羹」「重たさを愛す」「国語辞典」「パックの心理学」「負けいくさ(買ってくるぞと勇ましく)」「チョンタ」「中野のライオン」「新宿のライオン」など。
 
生きていたら91歳、ワタシの父より4歳年上とは!?まったく古さを感じさせないなあ。あの時代「ライオン」がいたんだね。(笑)超オススメです。(・∀・)

 

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新装版 眠る盃 (講談社文庫)

新装版 眠る盃 (講談社文庫)